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完璧じゃなくてもいい。 自分らしい関わり方で、 人に寄り添う【介護保険外の自費サービス ヘルパーインタビュー#10】

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は、介護保険外サービス「Crowd Care(クラウドケア)」で、ヘルパーとして活躍をする本田さんにインタビューを行いました。

壁際に立つ女性介護ヘルパー

完璧じゃなくてもいい。 自分らしい関わり方で、 人に寄り添う
【介護保険外の自費サービス ヘルパーインタビュー#10】

本田さんは、幼少期からお祖母さまとともに暮らしていた経験が、福祉や高齢者支援への関心につながったといいます。結婚、出産を経て、介護業界だけでなく、さまざまな仕事に携わってきた本田さん。
ご両親の介護をきっかけに、介護保険外サービスを知ったとのことでした。
そんな本田さんが、クラウドケアのヘルパーに応募したきっかけや、働くうえで大事にされていることなど、じっくりお話しをお聞きしました。

祖母との暮らしが、介護との出会い

――はじめに、本田さんが介護の世界に興味をもったきっかけから教えていただけますか

 

幼いころから、祖母と同居をしていたんです。祖母がだんだん年を取って弱っていく姿を間近で見て、「自分に何かできることがあれば」と自然に思ったんです。
大学時代、一般学部ではありましたが、ヘルパーの資格を取ってみようと思い立ちました。

 

――学生で資格を取るのは、なかなか行動力がいりますね

 

いえいえ(笑)。でも、当時学生だったので、家事はあまりできなくて。

資格取得後、初の訪問先で食事作りがあったのですが、自分の手際の悪さに「自分はまだまだだな」と痛感しました。経験豊富な主婦の先輩ヘルパーの方たちにはかなわないなと。
でもそれも含めて、いい経験でした。その後は、一般の企業に就職をしました。

 

――介護業界ではなく、一般企業に就職されたんですね

 

はい。就職してからは介護の現場から離れていましたが、出産や子育て、両親の介護を通して、また自然と関わるようになりました。
両親の体調が悪くなってきた時、最初は自分が近くで見守るようにしていたんですが、次第に介護の必要性が増してきて。
認知症の症状も出始めて、夜中に出歩いてしまうようなこともあり、目が離せなくなり……。
既に介護保険内でヘルパーさんには入っていただいていたんですが、それだけではカバーできず、ヘルパーさん不在の時間に誰か1時間でも見守ってくれたら、という思いでいろいろサービスを調べる中で出会ったのがクラウドケアでした。

 

――もともと、ヘルパーとしてでなく、利用者側として、クラウドケアを知ったのですね

 

そうです。最初は、両親のためにサービスを使おうと思って調べていて、クラウドケアを知りました。
介護保険ではカバーできない細やかなニーズにも対応していることを知って、すごいなと思いました。
当時は利用まで至らなかったけれど、「こんなヘルパーの働き方もあるんだな」と印象に残っていて。
両親を見送って、少し落ち着いたタイミングで自分も空いた時間を使って働けるようになって。
『今度は私が提供する側に立ってみよう』と思い立ち、ヘルパーとしてクラウドケアに応募しました。

クラウドケアのロゴを持ち、壁際に立つ女性介護ヘルパー

ヘルパーとしてでなく、利用者側として、クラウドケアを知った本田さん

クラウドケアで感じた“ちょうどいい距離感”

――クラウドケアではどのような働き方をされていますか。

 

私は現在、週2日、近所のお花屋さんで働いていて、その合間にクラウドケアのお仕事をしています。
訪問先も時間帯も、自分で選べるのがすごくありがたいです。
クラウドケアは、自分のライフスタイルに合わせて案件を選べるのがすごく助かります。

椅子に座り、インタビューに応える女性介護ヘルパー

クラウドケアのほかにも、お花屋さんで働く、本田さん

――クラウドケアで働く前、不安はありましたか?

 

介護保険外サービスなので、対応内容に幅がある分、最初は不安もありました。
自費サービスなので、内容が広くて何でも求められるのかなって。
でも実際に始めてみると、「自分にできること」から、仕事を選べるんです。自分の得意なこと、やりたいことを選べるのは大きな魅力だと感じました。
ハードルは思っていたよりも低くて、「これならできるかも」と安心できました。

今でも、初対面のご利用者さんのおうちに訪問するときは、最初はドキドキします。
でもその緊張感があるからこそ、丁寧に観察をして、相手の表情や言葉に真剣に向き合えるんです。

人の気持ちを「空気」で感じとる

――クラウドケアで働いていて、印象に残っているエピソードなどがあれば、教えてください

 

ご自宅での訪問診療に立ち会う依頼を受けたことがありました。
正直、「ただ立ち会うだけで私が役に立てるのかな?」と思っていたんです。
でも終わったあと、「誰かがいてくれて、すごく安心できた」と言っていただいて。
過去に、訪問診療の際に気になることがあったようで、 “第三者の目”があるだけで心強かった、と言っていただいたときには、介護には本当にさまざまなニーズがあるのだな、と感じました。

 

――その“見守り”が、安心につながったんですね。

 

そうなんです。実は“誰かがそばにいてくれる”ことに大きな意味があることを知りました。
情報が限られているからこそ、ご依頼内容には書かれていなくても、お宅に入った瞬間から空気を感じ取るようにしています。
もちろん、事前にメッセージでやりとりできる方とは、できるだけ細かく状況を聞いておきます。
置いてあるもの、お部屋の雰囲気、その方の表情……。五感を使って、求められていることを探していく感覚ですね。

介護も、接客も、「その人らしさ」を引き出すこと 

椅子に座り笑う女性介護ヘルパー

介護も、接客も、「その人らしさ」を引き出すこと

 

――現在、お花屋さんで働かれているということですが、たとえば、介護の仕事との共通点を感じることがありますか?

 

あまり考えたことはなかったですが、思えば、ありますね。

今はバックヤードでの制作業務なのですが、お店に立っていた時は毎日お客さまと接していました。
お花を選びに来るお客さまも、何か伝えたい気持ちがあってお花を買いに来る。でもそれが明確じゃない時もあるんです。
お客さまが何を求めているか、言葉だけじゃわからないことって多いんです。
予算や用途などを聞き出しながら、相手の気持ちに寄り添っていく。
「本当はどんな気持ちなのか」を汲み取るのが大切で。それは介護とすごく似ているな、と思います。
求められていることをそのまま形にするのではなく、「その人らしいかたち」で提供する、という感覚です。

ご両親の介護の経験が、ヘルパーの仕事に大きく関わる

――ご両親の介護経験が、今のお仕事に影響していることはありますか

 

すごくあります。実家の近くで5年間、両親のサポートをしていました。
途中からは施設に入ってもらいましたが、先ほどもお話ししたとおり、そのとき「誰かが1時間だけでも来てくれたら…」って、切実に思っていたので。
今は逆に、その“1時間”を届ける立場になって、当時の自分の気持ちがわかるからこそ、より丁寧に関わりたい、寄り添いたいと思えるんです。

そして、自分の親と重ねるように、ご利用者を見つめる視点も持つことができました。
今、この方に何が必要だろう。親だったら、どうされたいと思うか。そんな風に自然と考えるようになりました。

 

――本田さんが、介護のお仕事で、大事にされていることを教えてください。

 

やはり、目の前の方に、ちゃんと向き合う、ということですね。
背伸びをせず、飾らず、正直に接すること。相手もそれを見抜いていると思うので、無理して取り繕うのは意味がないなと。真剣に向き合わないと心を開いてくれません。

介護って“やること”が決まっているようで、実はそうじゃないんです。
もちろん依頼内容はありますが、ただ淡々とこなすだけではなくて、「この方は今、どんな気持ちでいるんだろう」「この時間に何を求めているんだろう」と考えながら関わることを、私は大切にしています。

 

――それは「気持ちに寄り添う」こととはまた少し違いますか?

 

はい。“寄り添う”って言葉では簡単に言えるんですけど、実際はすごく難しいんですよね。
例えば、初めて伺うお宅って、本当に緊張します。お互いに初対面ですし、相手にとっては自宅という大切な空間に知らない人間が入ってくるわけですから。
そこでどう信頼してもらえるかって、結局は「本当にこの人は、私のことを見てくれているか」「丁寧に関わってくれるか」に尽きると思います。

こちらが遠慮したり、取り繕っていたりすると、すぐに感じ取られます。いくら笑顔を作っても、心がこもっていないと伝わらないんですよ。

それに、高齢の方って、本当に繊細な方が多いんです。
自分ができなくなったことを受け入れるのもつらいし、人に頼るのは躊躇する。
だから、こちらも“助けてあげます”というような姿勢ではなく、同じ目線で「一緒にやってみましょうか」という関わり方を意識しています。

 

――それはまさに、人と人との関係ですね。

 

はい。介護って、どうしても「支援する側・される側」という構図になりがちですけど、私は“人と人”として向き合うことが一番大事だと思っています。

最初のうちは緊張してぎこちない空気でも、時間をかけて信頼関係ができてくると、ほんの些細な会話やふとした笑顔に変化が見えてくるんです。
その瞬間に、「あ、届いたかもしれない」って思えるんですよね。介護の仕事をしていて、嬉しい瞬間です。

 

――ありがとうございました。最後に、メッセージをお願いします。

 

ご家族の方には、「こんなこと頼んでいいのかな」と思わず、ぜひ気軽に相談していただきたいです。
介護って、なかなか“お願いする”ことにハードルを感じると思うんです。でも、第三者だからこそできることもあるし、小さなことでも気軽に言ってもらえた方が、私たちも力になりやすいし、嬉しいです。
その方の生活をもっとよくできるヒントになります。

また、これからヘルパーとして働く側の方は、もし少しでも「介護に興味がある」と思ったら、それは向いている証拠だと思います。
完璧じゃなくていいんです。背伸びせず、無理せず、目の前の人と向き合うこと。
介護は人と人の関係だからこそ、うまくやろうとしすぎず、自分らしく働ける場だと思います。
自分の気づきや経験が活かせる仕事なので、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。
きっと、自分にしかできない関わり方が見つかると思います。

窓際に立つ、女性介護ヘルパー

ご家族の方には、「こんなこと頼んでいいのかな」と思わず、
ぜひ気軽に相談していただきたいです

このように丁寧に語っていただいた本田さんの言葉からは、介護の仕事は、「関係性の仕事」として、一人ひとりと向き合う姿勢が伝わってきました。

本田さんのように、相手の心を読み取り、真摯に応えようとする介護のかたちは、多くの方にとって支えとなるかもしれません。

介護という仕事の本質は、「心と心がつながること」。そうあらためて感じさせてくれるインタビューでした。
(聞き手:けあむすび編集部 亀割)

▼前回のヘルパーインタビューはコチラ▼