こんにちは、けあむすび編集部です。
2025年11月1日・2日の2日間、「第19回 一般社団法人日本介護支援専門員協会 20周年記念全国大会」が東京国際フォーラムで開催されました。
全国から約950人のケアマネジャーが集い、会場は熱気と笑顔に包まれました。
19回目となる今回のテーマは「時代を担って、次代を拓く~つなぎたい介護支援専門員の未来~」。
本記事では、初日の模様を中心に、その様子をレポートします。

ケアマネジャーの未来をつなぐ日本介護支援専門員協会20周年記念全国大会
- 柴口会長「ケアマネジャーの年収は500万円を目指す。」
- 開会の挨拶「ケアマネジャーの仕事はこれからの社会にかかせない」
- 各界からの祝辞
- ■ 基調講演:「ケアマネジメント業務に専念できる環境をつくる」
- 講演後半:「ケアマネジャーの更新制は廃止する方針」
- パネルディスカッション:「ケアマネジャーが地域資源として保険外サービスを活用するためには」
- さまざまなプログラム・ブース出展で、多様な学びを感じられる全国大会
- けあむすび編集部より
柴口会長「ケアマネジャーの年収は500万円を目指す。」
大会開会前に行われた記者会見では、日本介護支援専門員協会の柴口会長が、これまでの16年間の活動を振り返りながら、協会の最大の成果として「職能団体としての確立」を挙げました。さらに「常に言い続けている、介護支援専門員の年収500万円。ここは崩せない」と強調し、引き続き基本単価の引き上げを訴え続ける意向を示しました。
また、会見の中で保険外サービスについても言及。「保険外サービスという社会資源が広がることは良いと考えている。トータルケアマネジメントを実現するため、保険外サービスも活用できたら良い」と新たな社会資源の登場に期待を寄せていました。
開会の挨拶「ケアマネジャーの仕事はこれからの社会にかかせない」

開会式では、柴口会長が20年の節目を迎えた協会の歩みを振り返りながら、全国で地域を支えるケアマネジャーの仲間に感謝を伝えました。
「制度は変わり、社会も変わり、そして私たち自身の立ち位置や役割も少しずつ確かめてきました。その中で変わらなかったのは、誰かの人生に寄り添いたい、地域をより良くしたい、そんな介護支援専門員として取り組む思いだと思います。その思いがあったからこそ、困難な現場でも向き合い続けられましたし、今日こうして全国の仲間がこの場で集い、次の時代を共に考えることができているんだと思います」
また、今年6月に行われた処遇改善を求める署名活動では、わずか1か月で25万筆を超える署名が集まったことを報告。
署名をいただいたことへの感謝に加えるとともに、介護支援専門員・相談支援専門員という仕事への信頼の証であると、エールをおくりました。
「私たちの仕事は、時には見えにくく、評価されにくい場面もありますが、現場で誰よりも近くに寄り添い、暮らしを支えるこの専門性は、これから社会に欠かせない力だと思います。」
柴口会長の言葉に、多くの参加者が頷き、会場からあたたかな拍手が送られました。
各界からの祝辞
開会式には、参議院議員の自見英子氏や厚生労働省老健局長の黒田秀郎氏、日本介護支援専門員連盟会長の初山昌平氏が登壇。
また、日本医師会会長の松本吉郎氏、東京都知事の小池百合子氏からのビデオメッセージも。政治・行政・医療など各分野から多くのメッセージが届き、地域包括ケアを支える専門職としてのケアマネジャーへの期待が寄せられました。
■ 基調講演:「ケアマネジメント業務に専念できる環境をつくる」

厚生労働省老健局長の黒田秀郎氏による基調講演「介護支援専門員の過去と未来に向けて」では、介護支援専門員のこれまでの歩みと、次期制度改正に向けた最新の議論が紹介されました。
黒田氏は、人口減少・高齢化が進む中での介護現場だけでなく社会全体で対応すべき状況にあると指摘。そのうえで「ケアマネジャーが本来のケアマネジメント業務に専念できるようにすることが重要」とし、業務の整理やICT等の活用による負担軽減と人材確保の両立が急務であると語りました。
講演前半では、現在も進行しているケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会での議論内容をもとに、4つの柱をわかりやすく説明しました。
1つ目の柱は、ケアマネジャーの業務の在り方
黒田氏は「85歳以上人口が増え、医療・介護ニーズ両方ある方も増えている。一方で、ケアマネジャーに従事している方の人数は減少に転じ、志望者も下がり気味である」と指摘。こうした中で、ケアマネジャーが専門性を生かした業務に専念し、負担を軽減できる環境をつくるために業務整理が進められていると述べました。
「検討会の報告の特徴は、ケアマネジャーが現在担っている業務を①法定業務②保険外サービスとして対応しうる業務③他機関につなぐべき業務④対応困難な業務、という4つの種類に分類していることです」
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業務の類型 |
主な事例 |
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①法定業務 |
・利用者からの相談対応、関係機関との連絡調整、ケアプラン作成 |
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②保険外サービスとして対応しうる業務 |
・郵便・宅配便等の発送・受取、書類作成・発送、代筆・代読、救急搬送時の同乗 |
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③他機関につなぐべき業務 |
・部屋の片付け・ゴミ出し、買い物などの家事支援 ・預貯金の引出・振込、財産管理 ・福祉サービスの利用や利用料支払いの手続き ・徘徊時の捜索 ・入院中・入所中の着替えや必需品の調達 ・死後事務 |
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④対応困難な業務 |
・医療同意 |
2つ目は、人材確保・定着に向けた方策
次に人材確保については「新規入職を促進するため、資格取得の前提となる受験資格の対象を拡大していく」と方針を伝えました。ケアマネジャーを目指す人がより多様な経歴から挑戦できるようにすることで、担い手不足の改善を目指す考えです。
3つ目は、法定研修の在り方
黒田氏は「研修のあり方を見直して、負担感が非常に強いと言われている法定研修のあり方を見直す。加えて、全国でばらつきがあると言われている、ばらつきを縮小する方向で議論を進めている」と説明しました。
4つ目は、ケアマネジメントの質の向上に向けた取組の促進
最後に、業務の整理を進めたうえで、ケアマネジメントの質を評価するための手法については審議会でブレイクダウンして議論を進めていると説明しました。
講演後半:「ケアマネジャーの更新制は廃止する方針」
後半では、社会保障審議会 介護保険部会での議論も紹介。
議論内容には、研修制度の見直しやケアマネジメントの質向上を進めるための方針が含まれています。特に注目すべきは、更新制の廃止が検討されている点です。
黒田氏は、「更新制は、ケアマネジャーの専門性を守るために導入されたものの、現在の業務負担を鑑みて廃止する方針が示されている」と述べました。
その代わり、研修は引き続き受ける義務が残り、オンライン研修や柔軟な研修時間の設定など、負担を軽減する方策が講じられます。
また、黒田氏は、今後のケアマネジメントにおいてICTの活用が不可欠であると強調しました。デジタル技術やICTツールを導入することで、ケアマネジャーの業務負担が軽減され、ケアプランのデータ連携システムの普及により、紙ベースの業務が効率化されると述べました。これにより、ケアマネジャーは本業に専念し、地域ごとの課題解決に向けた協力体制が強化されることが期待されます。
会場では、多くのケアマネジャーがメモを取りながら耳を傾け、現場の未来を見据える真剣な表情が印象的でした。
パネルディスカッション:「ケアマネジャーが地域資源として保険外サービスを活用するためには」

午後に行われたパネルディスカッションでは、「トータルケアマネジメントと保険外サービスのこれから」というテーマのもと、ケアマネジャーと保険外サービスの役割について議論が交わされました。
登壇したのは、日本介護支援専門員協会副会長の七種秀樹氏、クラウドケアも加盟する一般社団法人介護関連サービス事業協会(CSBA)代表理事の水野友喜氏、そしてファシリテーターを務めたのはCSBA理事の原優実氏です。
ディスカッションの中心となったのは、「介護保険サービスだけでは支えきれない生活支援ニーズにどのように対応していくか」という課題でした。
七種氏は、現在ケアマネジャーがすでに多くの「シャドーワーク」を担っている現状について言及しました。
「シャドーワークがあってこそ、生活支援ができている利用者さんも多い。ケアマネジャーがケアマネジメントに集中できる環境を作るためには、保険外サービスとの連携は避けて通れない」と強調しました。
一方で、保険外サービスを導入する際の課題として、七種氏は次のように述べました
「介護保険サービスは、都道府県や市町村が事業者を指定するため、一定の信頼性があります。しかし、保険外サービスはそうではなく、どのサービスが信頼できるのか、その基準が曖昧なため、ケアマネジャーには紹介責任も伴います」と。
水野氏は、これに対して、CSBAが現在進めている「保険外サービスの認定制度」の取り組みを紹介しました。
「ケアマネジャーが安心してサービスを紹介できるように、認証制度を設けて環境を整えていきたい」と語り、七種氏もこの認証制度に対して大きな期待を寄せました。
さらに、水野氏は費用面の課題にも触れ、
「保険外サービスの費用が高いという壁をなくすために、自治体と連携して、誰もが利用しやすい仕組みを作りたい」と語り、今後の展望についても話しました。

自治体と連携して、誰もが利用しやすい仕組みを作りたい」
七種氏は、トータルケアマネジメントを実現し、利用者のQOL(生活の質)を向上させるためには、保険外サービスの活用が不可欠だと述べ、地域ごとの社会資源を把握していく必要性を強調しました。
最後に、水野氏は、CSBAとしても保険外サービスが地域で社会資源の一員として根付くためには、利用者に使ってもらうことが大切だとし、
「ケアマネジャーが困っている利用者に対して、保険外サービスを紹介できる体制を作ることが重要。そうした協力体制ができれば嬉しい」と、今後の協力を呼びかけました。
さまざまなプログラム・ブース出展で、多様な学びを感じられる全国大会
会場ではさまざまな講演、セミナー、研究発表、企画展示、企業ブース出展、交流会などが行われました。
特別講演「介護支援専門員の未来につなぐ実践知」
講師:岡田進一氏(大阪公立大学大学院生活学部生活科学研究科 教授)

記念講演 「最期まで地域で輝いて生ききるために
~地域を育む介護支援専門員と共に歩む~ 指定発言者 講師支援者の遺族の方」
秋山 正子氏(認定NPO法人マギーズ東京)

~地域を育む介護支援専門員と共に歩む~ 指定発言者 講師支援者の遺族の方」
企画展示
都道府県支部の20年間の歩み 支部の紹介ポスター

ブース出展
クラウドケアもブース出展し、多くの方にブースまでお越しいただけました。

次回全国大会が開かれる岡山県介護支援専門員協会のブースも。

けあむすび編集部より
介護の現場には、様々な専門職が携わり、それぞれが大切な役割を果たしています。その中でもケアマネジャーは、本人・家族・地域・行政・医療・介護をつなぐ、まさに要です。
大会に集まったケアマネジャーの皆さんが、日々の実践や課題に真摯に向き合い、学び続けている姿勢には、心からの敬意を感じました。
また、保険外サービスが地域資源として確立し、ケアマネジャーが安心してその力を借りられるようになることが、地域にとっても利用者にとっても大きな支えとなるはずです。
私たちとしても学びの多い・充実した大会でした。
(けあむすび編集部:高橋)