あなたの知りたい介護が見つかる、つながる

視覚障がいのある方の「働く」を支える介護保険外サービスとは【介護保険外の自費訪問介護サービス 利用事例 19】

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は「仕事での外出時に介助をしてくれるヘルパー」を探し、介護保険外の自費訪問介護サービス「Crowd Care(クラウドケア)」を利用する河和さんにインタビューを行いました。

介護保険外の自費訪問介護サービスの利用事例として、障害福祉サービスとの使い分けや利用した感想をお聞きしました。

キーボードをたたく視覚障がいのある男性

視覚障がいのある方の「働く」を支える介護保険外サービスとは
【介護保険外の自費訪問介護サービス 利用事例 19】

「働いて誰かの役に立ちたい」視覚障がいがあっても働きたい、その想いをサポートする自費の訪問介護サービス

ーーはじめに河和さんについて教えてください。

 

私は昭和60年生まれで、出生時は極小未熟児でした。仮死状態で生まれ、生後3日目に肺炎を患い危篤状態になったと聞いています。その後も髄膜炎などの重篤な病気になり、まず脳性まひによる肢体不自由の症状が出ました。さらに未熟児網膜症となり手術を受けましたが、右目は失明。左目はレーザー治療により視力0.04程度ありますが、視野狭窄によって視野がとても狭く、中心がぼんやり見える程度です。

現在は、母と二人で暮らしています。文字の読み書きは点字を使い、パソコンやスマートフォンは読み上げソフトを使って操作しています。パソコン画面の表示を音声で確認しながら入力しています。

普段の生活は、障害福祉サービスを利用しながら暮らしています。
外出時の移動は車椅子に乗り介助者に押してもらう必要があるため、同行援護サービスや、私が住む自治体独自の移動支援事業を利用して、通院やプライベートの外出をしています。

その他にも公的な障害福祉サービスとして身体介護や家事援助、入浴介助などを利用していますね。家事援助を週に4回、入浴介助も週に4回で、月に合計50時間ほど居宅介護を使わせていただいています。

こうした支援があるおかげで、日常生活はなんとか成り立っています。最低限の生活はできている、というのが正直なところです。

仕事については、2013年に株式会社ふくろうアシストを立ち上げ、現在も経営しています。
視覚障がいのある方向けのパソコン教室やITサポート事業を行っており、自宅での対面サポートやZoomを活用したオンラインサポートなど、一人ひとりに寄り添った支援をしています。私自身が視覚障がいと肢体不自由の当事者だからこそ分かる困りごとや工夫があります。その経験を活かして価値を提供したいという思い、そして何より「働いて誰かの役に立ちたい」という気持ちから起業しました。

ただ、一つ大きな壁があります。
それが、障害福祉サービスでは「通勤や営業活動のための外出」は原則として対象外だということです。
2020年10月から「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」という制度ができ、通勤支援も可能になりましたが、この事業は地域生活支援促進事業と位置付けられているため、実施可否は自治体の裁量で判断されます。私の住む自治体では認められていません。

そのため、通院や買い物などのプライベートな外出は支援の対象になりますが、仕事のための移動となると利用できません。

働きたいと思っているのに、そのための移動に公的支援が使えない。
その現実に直面し、必要に迫られて依頼することになったのが、自費介護サービスのクラウドケアでした。

制度では届かない「仕事の移動」を支えるクラウドケア

視覚障がいのある男性講師の授業のようす

福祉の出前授業の様子

ーークラウドケアはどんなことに利用していますか?

 

現在、クラウドケアには主に出張や講演の際の移動サポートをお願いしています。
仕事の依頼で視覚障がいのある方へのAI活用のレクチャーを行ったり、社会福祉協議会を通じて近隣の小学校、中学校、高校に福祉の出前授業に伺ったりしています。その際の移動や現地でのサポートを依頼しています。

出前授業の際には、自宅にヘルパーさんに来ていただいて一緒に授業をする学校へ移動しています。到着後は、パソコン機器の接続を手伝っていただいたり、授業中の子どもの反応を教えてもらったりしています。

 

ーー自費介護の訪問介護サービスを利用する経緯を教えてください。

 

実は、クラウドケアを知ったきっかけは仕事ではありませんでした。

以前、同居している母が急性貧血で急に倒れて入院したことがありました。そのとき、母が担ってくれていた家事などを補う必要があり、自費のヘルパーを探していて見つけたのがクラウドケアでした。

利用登録時のアセスメントは電話で対応いただき、そのときに私が視覚障がいをもっていることや、今後仕事の外出付き添いなどで使う可能性があることも伝えていました。

最初は、母と役所へ書類を取りに行く依頼をしましたが、当日天候が悪く外出が難しくなり、急遽家事支援に依頼内容に変更しました。

そのときのヘルパーさんが、急な変更にきちんと対応してくださり、母の体調や状況を丁寧に確認し、きめ細やかに対応していただいたことが強く印象に残っています。

「ここなら安心してお願いできる」と感じた経験があったからこそ、仕事の移動についても相談してみようと思えました。

男性の指とキーボード

「クラウドケアなら安心してお願いできる」と感じた経験があった、と語る河和さん

ーー出前授業の際、以前はどうしていたのですか?

 

クラウドケアに依頼する前までは障害福祉サービスとして利用していた訪問介護業所に保険外対応として頼むことがありました。

ただ、障害福祉サービスの訪問介護事業所から派遣いただくヘルパーさんの年齢が70歳を超えていて、車椅子を引きながら長時間の外出をしたり、PC機器の接続をお願いしたりするのは難しいと感じていました。

出前授業のときは社会福祉協議会さんが交通費を負担してくださっているのですが、ヘルパー派遣先を探す段階で、私から「クラウドケアがおすすめです」と提案させていただきました。

愕然としたあの日から、今の挑戦へ

点字と、男性の指

「働くこと」そのものを諦めなくていい。そう語る河和さん

 

ーークラウドケアを利用していかがでしたか?

 

いつも対応してくださるヘルパーさんには本当に感謝しています。

特に印象に残っているのは、静岡へ2泊3日で出張したときです。現地の全盲のご夫婦へAI活用のレクチャーを行う機会でした。担当してくださったヘルパーさんは明るく気さくな方で、おかげで毎日がとても楽しく、安心して過ごすことができました。

介助面でも安心感がありました。私の障がい特性を理解しようと常に気にかけてくださり、ホテルでは壁伝いに歩いていた私の様子を見て、体幹が不安定にならないようすぐに手引き歩行に切り替えてくださいました。臨機応変な対応に本当に助けられました。

自費介護サービスという選択肢があることで、私は出張にも行けますし、出前授業にも行くことができています。

でも実は私にとって「働くための移動」という問題は、ずっと前から続いているものでした。大学卒業時、通勤にヘルパーが使えないと知ったときは、本当に愕然としました。「え、じゃあどうやって会社に通えばいいの?」と。就職活動でも必ず「通勤はどうするの?」と聞かれました。そして不採用が続きました。

そのときに強く感じたのは、能力以前に移動できるかどうかで道が閉ざされてしまう現実でした。それでも、「じゃあ自分にできることは何だろう」と考え続けました。その結果が、今のパソコン教室です。

制度の壁は、あの頃も、そして今もあります。自費サービスである以上、負担があるのも事実です。それでもクラウドケアのような選択肢があることで、「働くこと」そのものを諦めなくていい。今、挑戦を続けられていると感じています。

制度では十分に対応できない移動の課題に向き合う、自費介護という選択肢

今回は、制度のはざまで「働く」という選択を模索し続けてきた河和さんにお話を伺いました。公的支援によって生活は支えられている一方で、通勤や営業活動といった「仕事のための移動」には壁があるという現実。大学卒業時の葛藤から起業に至るまでの歩み、そして自費介護サービスが今の挑戦を支えていることが印象的でした。移動支援のあり方や、自費サービスという選択肢の意義について、あらためて考えるきっかけとなりました。

(けあむすび編集部:高橋)

 

 

運営:クラウドケア

サービスを見る ›