こんにちは、けあむすび編集部です。
「介護が必要になったら、家族旅行は難しい。」
そんなイメージを持っている方は少なくありません。
今回は、JTOSとクラウドケアが行うユニバーサルツーリズムの実証実験に参加し、Crowd Care(クラウドケア)のヘルパーと一緒に箱根へ一泊二日の家族旅行へ行かれた田中さま(仮名)にインタビューしました。
実証実験へ参加したきっかけや旅行中のエピソード、そしてヘルパーが同行したことで感じた安心感や、ご家族に生まれた変化についてお話を伺いました。

- 外出への安心感が、旅行への挑戦につながりました
- 車よりも安心。私たちが鉄道での旅行を選んだ理由
- 「旅行は難しい」が「また行きたい」に変わった実証実験への参加
- 家族も旅行を楽しめた。保険外の自費介護ヘルパーが同行してくれたからこその安心感
- 介護が必要でも、旅行を楽しめる社会へ
外出への安心感が、旅行への挑戦につながりました
――田中さまのご状況について教えてください
父は3年前に脳梗塞を発症し、身体が思うように動かなくなったため、現在は施設で生活しています。移動には車椅子を使用しており要介護度は3です。
施設へ入所した当初は「家に帰りたい」という気持ちがとても強く、父と私の二人だけになるとその話題になることが多くありました。ただ、現実的には自宅での生活は難しく、私が「それは難しいよ」と伝え続けなければならないことが精神的につらかったんです。
そこで、通院や外出の際には、サポートとして、以前からクラウドケアを利用していました。
ヘルパーさんという第三者が一緒にいてくださることで、父も家に帰りたいという話題をあまり口にしなくなり、私自身も精神的な負担を抱え過ぎずに父との時間を過ごせるようになりました。また、車椅子の扱い方や介助のコツを教えていただくこともあり、外出への不安も少しずつ解消されていきました。
保険外サービスというと身体介護のサポートをイメージされる方が多いと思いますが、私にとっては身体的な支援だけでなく、親子だからこそ生まれる精神的な負担を和らげてくれる存在でもありました。
その積み重ねがあったからこそ、「旅行にも挑戦してみよう」と今回の実証実験への参加につながったと思っています。
――今回の実証実験へ参加されたきっかけを教えてください
以前から、父を旅行へ連れて行きたいという思いはありました。
ただ、家族だけで旅行へ行くとなると「どこまで自分たちで対応できるのか」「どこをヘルパーさんにお願いすればいいのか」が分からず、なかなか一歩を踏み出せませんでした。
そんな時にクラウドケアから「ヘルパーと一緒に箱根で一泊二日の旅行を体験する」という実証実験の案内が届き「今なら挑戦できるかもしれない」と思い、すぐに申し込みました。
これまで外出でお世話になっていた安心感もあり、旅行でもきっと力になってもらえるという期待がありました。
車よりも安心。私たちが鉄道での旅行を選んだ理由
――今回は鉄道で箱根へ向かわれました。不安はありませんでしたか。
実は、父との通院や外出でも、最近は車より鉄道を利用することが増えています。一番大きな理由はトイレです。
車で移動する場合は「途中でトイレに行きたくなったらどうしよう」と考えながら、事前に多目的トイレのある施設や立ち寄れる場所を調べておく必要があります。渋滞に巻き込まれてしまうと、すぐにトイレへ行けないこともあり、そのことが外出時の大きな不安になっていました。その点、鉄道ならどの駅にも多目的トイレがありますし、体調が悪くなった場合でも駅員さんにすぐ助けを求めることができます。実際に利用してみると、私たちにとっては車よりも鉄道の方が安心して移動できることが分かりました。
今回の箱根旅行でも「鉄道だから不安」ということはなく、むしろ普段の外出と同じような安心感を持って出発することができました。

「旅行は難しい」が「また行きたい」に変わった実証実験への参加
――今回の箱根旅行では、どのような場所を巡られましたか。
旅行当日は、父が入所している施設までヘルパーさんが迎えに来てくださり、そこから旅行中は付きっきりでサポートしていただきました。旅行は父と私、夫とヘルパーの4名で行きました。
施設を出発してタクシーで駅に向かい、そこから踊り子号に乗り換えて箱根へ向かい、ザ・プリンス 箱根芦ノ湖に宿泊しました。
電車やバスでの移動はもちろん、ホテル内でも必要に応じて車いすの介助や移動のサポートをしていただき、安心して旅行を楽しむことができました。
箱根では元箱根港から海賊船に乗船しました。
一番印象に残っているのが、この海賊船です。
父は外出が好きなので、本当に楽しそうに景色を眺めていて、大はしゃぎでした。「連れてきて良かった」と心から思いました。
ホテルのスタッフの皆さんもとても親切で、朝食会場では景色がよく見える席を用意してくださるなど、細かな配慮もありがたかったです。
今回の旅行を通して感じたのは、「介護が必要だから旅行は難しい」のではなく、「必要なサポートがあれば旅行は十分楽しめる」ということでした。
ヘルパーさんが父の介助を担ってくださったことで、私たち家族も父と一緒に景色や食事を楽しみながら、安心して旅行の時間を過ごすことができました。

家族も旅行を楽しめた。保険外の自費介護ヘルパーが同行してくれたからこその安心感
――クラウドケアのヘルパーが同行したことで、特に助かったことを教えてください。
実証実験ということもあると思いますが、旅行中は想定外の出来事が何度かありました。
もともとホテルへ向かうシャトルバスがノンステップバスではないことは分かっていたので、バスへ乗る際には、おんぶでの移乗を考えていました。しかし当日は父がおんぶを怖がってしまい、どうしようかと思いましたが、ヘルパーさんが夫と協力しながら別の方法を考えてくださり、安全に乗車することができました。
また、電車では車いす席のテーブルが想定していた仕様と違い、父が食事をしづらい場面もありましたが、その場で座席を回転させるなど工夫しながら介助してくださいました。こうした場面では、「プロが一緒にいてくれる安心感」を強く感じました。
そして何より大きかったのは、家族にも心の余裕が生まれたことです。父の介助を安心してお願いできる時間があったからこそ、私たちも景色を楽しみ、一緒に食事をし、温泉に入ることもできました。
今回は「家族みんなで旅行を楽しめた」と感じています。
――今回の旅行を通して、次の旅行も考えられるようになりましたか
はい。今回の旅行で「移動時間が2時間ほどの箱根まで行けた」という自信が持てました。
となると、新幹線で2時間ほどの場所にも行けるかもしれない。次は奈良へ行ってみたいと思っています。
将来的には、飛行機に乗って父の出身地である沖縄にも行けるかもしれません。

介護が必要でも、旅行を楽しめる社会へ
近年、介護が必要な方も安心して旅行を楽しめる「介護旅行」や「ユニバーサルツーリズム」への関心が高まっています。田中さまのインタビューからも分かるように、介護保険外サービスなど必要なサポートを取り入れることで、ご本人だけでなくご家族も旅行を楽しめる可能性が広がります。「旅行はもう難しい」と諦める前に、自分たちに合ったサポートを知ることが、新しい一歩につながるかもしれません。
前回のインタビューはこちら▼
著者:けあむすび編集部
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