こんにちは、けあむすび編集部です。
今回は「車椅子の積み下ろしをしてくれる通院介助サービス」を探し、介護保険外サービス「Crowd Care(クラウドケア)」を利用する渡辺さん(仮名)にインタビューを行いました。
介護保険外の自費サービスの利用事例として、公的介護保険との使い分けや利用した感想をお聞きしました。
- 公的介護保険と介護保険外の自費サービスの違いとは
- 人手不足で通院介助は利用できず。ようやく見つけた介護保険外の自費サービス
- 民間企業が介護保険外サービスを提供するのは時代にマッチしていると思います。
- 介護保険外の自費サービスで解決できた「訪問介護事業所の人手不足問題」
公的介護保険と介護保険外の自費サービスの違いとは
「公的介護保険のサービス」とは、介護が必要な状態である「65歳以上の方」もしくは「40歳〜64歳までの厚生労働省が指定する特定疾患を持つ方」が利用できるサービスです。
サービス利用にかかる自己負担は1割〜3割(所得に応じて変動)で、残りは介護保険料と国や自治体の公費で賄われています。
そのため、利用できるサービスの種類や時間などは、要支援・要介護度によって厳密にルール化されており、できることとできないことに明確な線引きがあります。
「介護保険外の自費サービス」は、国が定める公的介護保険の対象外となる介護サービスです。
介護保険を利用できないため、介護保険外のサービス利用にかかる自己負担は10割(全額)となりますが、介護認定を受けている方も、受けていない方も利用することができます。
利用内容や時間も柔軟で、公的介護保険のサービスでは提供できない要望、例えば、通院の付き添いや趣味などの外出付き添い、長時間の見守りなども、利用者のニーズに合わせてサービスを受けることができます。
人手不足で通院介助は利用できず。ようやく見つけた介護保険外の自費サービス
ーー渡辺さんについて教えてください。
私は脊椎損傷による半身不随で、歩いたり、立ったりすることができないため車椅子に乗って生活をしています。要介護度は3です。
また、内部障害もあり、尿意や便意を感じられないため、自己導尿など、自ら排泄をうながす必要があります。生活をする上では、車椅子よりも排泄部分の方が大変ですね。
公的介護保険は訪問介護を週に4回利用しています。午後に1時間ほどヘルパーさんに来てもらい、掃除などの生活介助をお願いしています。
月に1回は、病院で診察を受ける必要があるため、通院時は自分で車椅子を分解して車に積んで行くこともあったのですが、関節リウマチの症状が強くなってきて、車椅子を積む作業も難しくなりました。
そのため、現在は通院付き添いで「Crowd Care(クラウドケア)」を利用しています。
ーー介護保険外サービスを利用するまでの経緯を教えてください。
自宅と病院で、車椅子を積み下ろししてくれるサービスを探していました。
最初は介護タクシーを頼んでいたのですが、病院内で診察を待っている時間もタクシーのメーターが上がるシステムで、一回の通院で数万円の支払いが必要でした。
そこで、公的介護保険の通院介助をお願いしようと、ケアマネジャーから居住地域の訪問介護事業所にお願いしてもらったのですが、どこも「人手不足でサービス提供できない」という回答で...。
訪問介護事業所は通院介助サービスを提供していますが、いざお願いしようとすると利用できない状況でした。
この状況を市役所の担当課にもお伝えしたのですが、回答は「基本的にはサービスを提供する事業所の中でのやりくりになるため、我々から介入することは難しい」という内容で、さて、困ったぞと。
公的介護保険でサービスを受ける方法が絶たれてしまったのです。
そんな状況になってしまったので、ケアマネジャーとも相談し、介護保険外サービスで「通院介助」をしていれる事業所を探そうとなりました。
探してみると、公的介護保険サービスを提供しながら介護保険外サービスも提供している事業所がいくつか見つかったのですが、どこも事業所がある場所の近辺(何km以内)といった距離の制限がありました。
私がお願いしたい自宅から病院までの移動は提供エリア外だったのです。
それでも根気強く探している中で、クラウドケアを見つけました。
問い合わせをしてみると私が住む地域でも、ヘルパーがマッチングすれば提供可能とのことで、登録することにしました。
ーークラウドケアではどんなご依頼をされているのですか?
通院付き添いをお願いしています。メインは車に車椅子を積み下ろしすることです。
具体的には、自宅で車に車椅子を積んでもらい、車に同乗し、病院に付いてきてもらい、病院についたら車椅子を下ろしてもらいます。
診察の予約をしていても1時間以上待つ場合がほとんどなので、ヘルパーさんによっては一緒に病院内のカフェテリアや飲食スペースでお昼ご飯を食べたり、お話したりしています。
私は院内も自走して移動しているのですが、転倒などの万が一の場合に備えて近くで同行をお願いしています。
診察が終わると、また車椅子を車に積んでもらい、自宅に移動し、自宅で車椅子を下ろしてもらいます。
病院での診察待ち時間も考慮して、毎回3時間半で依頼しています。
ーー公的介護保険と介護保険外サービスの使い分けはどのようにされていますか?
生活介助は、公的介護保険の訪問介護サービス、通院付き添いはクラウドケアを利用しています。
公的介護保険では人手不足や保険制度の仕組み上、サービス提供できない通院介助を、介護保険外サービスで利用している、といった具合です。
民間企業が介護保険外サービスを提供するのは時代にマッチしていると思います。
ーークラウドケアを利用してみていかがでしたか?
まず通院付き添いというサービスを提供してもらえる点で助かっています。
先ほどもお伝えしたとおり、私が住む地域では訪問介護事業所の通院介助は、人手不足だったり距離の問題で利用できなかったので。
また、問い合わせに対するレスポンスも早かったのは嬉しかったです。
訪問介護事業所へ問い合わせをしても数日連絡が返ってこないこともザラにあり、ユーザー目線の強い民間企業が介護保険外サービスを提供することは世の中の状況にマッチしていると思っています。
なぜ介護保険外サービスが必要と思ったかというと、公的介護保険を利用していると、いろいろ思うことがあるからです。
訪問介護ヘルパーさんとも接していますが、過去に食器を割ったのに黙っていたり、調理補助で来ているヘルパーさんなのに普段から料理をしない方で調理ができなかったりしたことがあり...。
もちろん良い方もいらっしゃるのですが、仕事で求められる基礎スキルがなく、それを直そうともしていない方も多い印象です。
訪問介護事業所にどうにかならないかと連絡しても「ヘルパー次第なので」との回答で、事業所として、調理できる人材を選んだり、仕事で求められる実務スキルを研修などで補おうという気持ちは伝わってきませんでした。
そんな経験もしているため、民間企業が介護保険外サービスを提供することで、比較的質の高い介護サービスを提供できているんじゃないかと思っています。
ユーザーに寄り添う気持ちがあるなと。
今後の期待も込めて、クラウドケアへお伝えしたいのはヘルパーへの啓蒙活動ですね。
クラウドケアに登録しているヘルパーはフリーランスや副業で、個人として稼ぐ「スペシャリストなんだ」という意識をいま以上に持っていただけると、より良いサービスになると思っています。そういう意味でいうと指名制度によってヘルパーの時給があがるのは良い仕組みですね。
介護保険外の自費サービスで解決できた「訪問介護事業所の人手不足問題」
渡辺さんにお話を伺う中で、人手不足によって公的介護保険の通院介助を受けられない問題があると再認識しました。
今回ご紹介した渡辺さんが利用するようなマッチング形式の介護保険外サービスであれば、店舗や事業所の近隣といった距離に関するハードルを払拭できます。
今回は、介護保険外の自費サービスにより、訪問介護事業所の人手不足で起きる問題を解決できた事例をお伝えいたしました。
(聞き手:けあむすび編集部 髙橋)
▼前回の介護保険外の自費サービス利用事例はコチラ▼