あなたの知りたい介護が見つかる、つながる

『諦めない』“人生そのもの”を支援したい、訪問リハビリの力——脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表に聞く、自費訪問リハビリのこれから#1

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は、脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表にインタビューを行いました。
自費訪問リハビリについて、詳しくお聞きします。

『諦めない』“人生そのもの”を支えたい、訪問リハビリの力——脳梗塞リハビリステーション・グループ齋藤直路代表に聞く、自費訪問リハビリのこれから

脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表

病院でも施設でもない、リハビリの“新しい場所”

「病院でのリハビリは、期限があるんですよね。でも、本当はその先にも“改善”のチャンスはあるんです」

そう語るのは、「脳梗塞リハビリステーション・グループ」を運営する齋藤直路代表。
経営・政策の視点からも医療・介護業界に関わってきた中で、「もっと地域に根差した、気軽で特別ではないリハビリの場が必要だ」と強く感じるようになったといいます。

今回は、訪問リハビリ事業を始めた背景や「脳梗塞リハビリステーション・グループ」設立の経緯、そして「『諦めない』“人生そのもの”を支えたい」という想いについて、お話を伺いました。

脳梗塞リハビリステーション・グループとは?

——まずは脳梗塞リハビリステーション・グループについて教えてください。

 

 はい、私自身のキャリアとしては、主に介護・医療・福祉分野の経営コンサルティングを実施してきました。学生時代からこの分野に関心がありました。
業界としては、例えば介護保険制度ができたばかりであったりと、まだ発展途上中で経営的な課題や可能性を感じており“何か業界の発展に寄与することができるかもしれない”と考えたことが、この道に進んだきっかけです。

2017年から始めたのが、保険外リハビリ事業である、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症を中心としたリハビリ専門の施設「脳梗塞リハビリステーション・グループ」(URL:https://kyu-reha.jp/)です。

 

——なぜ訪問リハビリに着目されたのですか?

 

 きっかけのひとつは「リハビリ難民」という言葉でした。
医療保険制度の見直しによって、退院後のリハビリが十分に受けられない方々が一定数いらっしゃるんです。
急性期・回復期病院を退院すると、リハビリの選択肢は限られ、デイケアや訪問リハビリ、通院でのリハビリなどに移行しますが、入院時と比べるとその量や質にギャップがあります。

当時、私たちの会社では、すでに介護施設向けにリハビリ強化のコンサルティングを行っていて、自社にも理学療法士等のリハビリ専門職のスタッフが在籍していました。
ディスカッションを重ねる中で「これは自分たちで直接実施すべきでは」と思うようになったんです。

保険外リハビリ事業「脳梗塞リハビリステーション・グループ」設立へ

保険外リハビリ事業「脳梗塞リハビリステーション・グループ」設立へ

保険外リハビリ事業「脳梗塞リハビリステーション・グループ」設立へ

——そこから、脳梗塞リハビリステーション・グループを設立されることになったのですね

 

はい、そうです。私たちが運営している保険外リハビリ事業「脳梗塞リハビリステーション・グループ」は、リハビリ難民の方々にも選択肢を提供できるよう、自費による通所型・訪問型のリハビリを提供する事業です。

2017年、まずは福岡県福岡市・天神に第1号拠点を設けました。 当時、九州エリアには自費のリハビリ施設がほとんどなかったため、かなり反響がありました。

現在では、国内・海外に12拠点(直営・連携含む)まで広がっており、海外では現地の病院と連携しバンコクやヤンゴンのリハビリにも関わってきました。

 

――具体的に、どのようなリハビリを行っているのでしょうか?

 

 「脳梗塞リハビリステーション・グループ」では、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症に特化した専門的なリハビリテーションを行っています。

保険外(自費)サービス・完全予約制・マンツーマンで行う個別のリハビリ、ということが特徴です。

医療保険や介護保険ではカバーできていない、発症して数年経った脳卒中後遺症の方にも改善を目的にした集中的な施術を実施しています。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門スタッフが、一人ひとりの目標や状態に応じてオーダーメイドのプログラムを作成します。

例えば、身体リハビリプラン、言語プラン、ヨガ、歩行特化リハビリコース、鍼灸、各種リハビリ相談などのメニューがあります。その他にも、リハビリの専門職向けの研修事業も実施しています。

利用者の方からは、「毎回しっかり向き合ってくれる」「自分に合ったメニューが組まれているので続けられる」といった声を多くいただいています。

リハビリテーションの質の向上や、成果研究の推進、保険外リハビリの地位向上を目指し、 リハビリテーション科専門医師や、医療系の博士を持つ研究者・臨床家など、 医療のプロフェッショナルを顧問に迎え、日々改善を目指して取り組んでいます。

チーム全体として、リハビリを通じて“人生そのもの”を支援することが目標です。

リハビリテーションの風景

リハビリテーションの風景

諦めない人を支える自費リハビリを


――脳梗塞リハビリステーション・グループが、大事にされていることを教えてください。

 

私たちが一番大切にしているのは、「『諦めない』“人生そのもの”を支援すること」ということです。

たとえば、脳梗塞後に「もう麻痺は改善しない」と医師から言われた方でも、適切なリハビリを続ければ、数年後に一定程度、改善されるケースは少なくありません。

ところが、現実には多くの方が改善を諦めてしまっている。
そのご本人だけでなく、家族も「もう変わらないかもしれない」と思い始めている。
も、実際は5年・10年経ってからでも、機能改善する方はたくさんいらっしゃるんです。


この部分については、学会で発表したり、論文を投稿したりと科学的で地道な活動を続けています。

リハビリは、身体の機能だけでなく、「気持ちを前向きにする力」も持っていると思っています。

 

——実際に改善された方のお話など、印象に残っているエピソードはありますか?

 

 はい、たとえば「電車に乗って旅行に行けるようになった」「外出が楽しくなった」「復職できた」「車の運転が再開できた」と話してくださる方もいます。
言語障害のある方が、「少しでも伝わるように」と毎回スタッフと練習を重ね、会話ができるようになった例もあります。
そのほかにも、杖なしで外出ができるようになったですとか、リハビリテーションを通じて、仕事に復職できるようになりました、など、嬉しい声を多数いただいております。

自分の人生を“取り戻してい

く”プロセスに寄り添えるのは、本当にやりがいがありますね。

今後の展望——リハビリの空白地帯に届けたい

 

——今後の展望について教えてください。

 

日本全国を見渡すと、いまだに「リハビリの空白地帯」と呼べる地域がたくさんあります。

2024年に福島県の福島駅前へ拠点を出しましたが、それまでこの地域には退院後の自費リハビリの選択肢がほとんどない状態でした。

山形県の山形駅前に拠点を出した際も同様で、「こんなサービスがあるなんて知らなかった」と驚かれました。

特に地方では、リハビリ職の数は増えてきてはいるものの人材分布も偏っていて、東京や福岡、都市部に比べて圧倒的に足りていない地域もあります。
そうなると、介護施設にリハビリの国家資格を持つ専門職がいなかったりする例もあります。
そうした地域に、“もうひとつの選択肢”としてのリハビリ拠点を増やしていきたいと考えています。

カフェのように、街の中に自然に溶け込んでいるような、屋内だけでなく街中やバス・電車の乗降も含めた自由な設定のリハビリテーションの場を創っていきたいです。

リハビリの空白地帯に届けたいと語る、齋藤直路代表

リハビリの空白地帯に届けたいと語る、齋藤直路代表

リハビリは、ふだんの生活のなかにあるべきもの

「リハビリは病院や介護施設の中だけで行うもの」というイメージを、少しずつでも変えていきたい—— 齋藤さまの話からは、そうした想いがひしひしと伝わってきました。

医療制度の枠組みではフォローしきれない部分に、自費のリハビリがどう関わっていけるか。「『諦めない』人生そのものを支援したい」その姿勢が、今後ますます必要とされていくのではないでしょうか。

次回は、脳梗塞リハビリステーション・グループと、クラウドケアの新たな取り組みについて、インタビューをいたします。

(聞き手:けあむすび編集部 亀割)

 

脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアが連携した
訪問リハビリサービス