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「介護関連サービスのこれからを多角的に議論」一般社団法人 介護関連サービス事業協会(CSBA)「介護関連サービスカンファレンス2026」レポート

こんにちは、けあむすび編集部です。
 2026年3月12日、一般社団法人介護関連サービス事業協会(CSBA)主催の「介護関連サービスカンファレンス2026」が、ベルサール虎ノ門で開催されました。
会場参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式で行われ、介護関連サービス事業者をはじめ、行政、企業、研究者、メディアなど、さまざまな立場の参加者が集いました。

当日は、経済産業省・厚生労働省による基調講演のほか、CSBAの活動報告、そして3つのトークセッションを実施。

介護保険外サービスの役割や可能性、配食サービスの広がり、仕事と介護の両立支援まで、いま注目されるテーマについて多角的な議論が展開されました。
公的な介護保険サービスだけでは拾いきれないニーズに対し、民間の介護関連サービスが地域や企業をどう支えられるのか。具体例を交えながら、その現状と今後の可能性が見えてくる内容となりました。

来賓挨拶:介護関連サービスは、地域と企業を支える重要な選択肢に

開会にあたり、
内閣府健康医療戦略推進事務局次長 内閣審議官 経済産業省 商務・サービスグループ 制作統括調整官 江澤正名氏、厚生労働省 大臣官房審議官(老健、障害保健福祉担当) 林俊宏氏から来賓挨拶がありました。

基調講演では、経済産業省の小野聡志氏が登壇。仕事と介護の両立が、個人や家庭だけでなく、企業経営や日本経済全体に関わる課題になっている現状が示されました。そのうえで、介護保険外サービスについては、サービスの多様化が進む一方、利用者や家族、自治体、企業が安心して選べる環境づくりが重要だと説明し、CSBAによるガイドライン整備や認証制度の取組への期待も寄せられました。

続いて、厚生労働省の佐藤清和氏が登壇。地域包括ケアシステムの進化に向けて、介護保険サービスだけでなく、生活支援や介護予防を含めた多様な支えが必要であるとの考えが共有されました。高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには、行政だけでも、介護事業者だけでも十分ではなく、民間企業や地域住民も含めた連携の重要性が伝わってきました。

CSBA活動報告:認証制度の立ち上げが前進、全国的な関心の広がりも

CSBAの活動報告では、まず、この1年間で進んだ入会実績や認証制度の整備について共有されました。

入会実績は、一般会員が62法人、パートナー会員が5法人、賛助会員が30法人と報告。認証制度は第一期認証審査を実施し、34社・2792事業所から申請があり、実際に認証されたのは16社・2658事業所。制度立ち上げの初期段階としては、非常に多くの事業所が参加したことがうかがえました。

また、参加や問い合わせが首都圏にとどまらず、関西、九州、中国地方など全国に広がっている点も報告。当初は都内が中心になるかと想定していましたが、結果的に30%ほどで、介護関連サービスが一部地域だけのテーマではなく、全国的なニーズを持つ分野であることを示す動きであると示されました。

一方で、今後の課題としてあがったのが、地域資源の情報集約の難しさと、介護関連サービスの定義の曖昧さです。介護保険サービスと異なり、保険外サービスは情報が分散しやすく、必要な人が必要な情報にたどり着きにくい現状があります。CSBAでは今後、市場マップの整備やサービス情報のリスト化を進め、探しやすい環境づくりにつなげていく方針を提示しました。

長崎県での実証実験報告:ケアマネジャーのシャドーワーク解消に向けた手応え


続いて紹介されたのは、長崎県で行われた実証実験です。テーマは、ケアマネジャーが本来業務以外に担っている、いわゆるシャドーワークの解消。
現場では、草むしりや通院付き添いなど、本来は他のサービスや支援で担えるはずのことまで、ケアマネジャーが引き受けている実態があると報告されました。

実証の中では、とくに通院付き添いニーズの大きさが際立ったそうです。通院支援を保険外サービスで行うことで、ケアマネジャーの業務時間を1日120分削減できた事例も紹介されました。本人・家族・ケアマネジャーの満足度も高く、必要なケアを見える化し、それを担う受け皿を地域に整えていくことの重要性が共有されました。

ビデオ登壇した長崎県の担当者からも、地方では介護人材不足がより深刻であり、こうした保険外サービスの考え方を広げていく必要があるとのコメントがありました。さらに、日本介護支援専門員協会からは、質の高いサービスを安心して紹介するうえで、CSBAの認証制度が後押しになるとの期待も示されました。

トークセッションA:介護保険外サービスは誰のものか 限られた人のサービスではない実像


トークセッションAでは、「介護保険外サービスは誰のものか」をテーマに、株式会社日本総合研究所の紀伊信之氏、株式会社ダスキン ライフケアの香山賢一氏に加え、当サイトを運営する株式会社クラウドケアの小嶋潤一も登壇しました。

議論ではまず、介護保険外サービスが介護保険サービスの隙間を埋めている実態が共有されました。クラウドケアでは、利用者の約半数が介護保険と併用しており、送り出しや迎え、デイサービスの前後の見守り、家事支援、通院付き添いなどで活用されていること。ダスキンでも、外出付き添い、食事づくり、夜間見守りなど、介護保険では対応しにくい場面での利用が多いと紹介されました。

また、「保険外サービスは富裕層向けではないか」という問いに対しては、必ずしもそうではないという見方が示されました。クラウドケアでは、1回3時間ほどの利用で平均1万2000円前後、月額平均では約6万円程度。必要なときだけ単発で使う人も多く、「意外と安い」と感じる利用者もいると報告。
ダスキンでも、月額平均は約9万5000円としつつ、一般的な家庭での利用も少なくないことが紹介されました。

さらに、小嶋からは、クラウドケアで活動する人材の9割以上が介護職経験者である一方で、資格がなくても担える支援を入口にすることで、人材の裾野を広げたいという考えも伝えました。

保険外サービスが「一部の人のための特別なサービス」ではないということが伝わるセッションでした。

トークセッションB:配食サービスの次の役割は「食を届ける」その先へ


トークセッションBでは、株式会社シニアライフクリエイトの高橋宏史氏、株式会社シルバーライフの清水貴久氏、ワタミ株式会社の森園啓司氏の3名が登壇し、配食サービスの現状と今後について意見を交わしました。

各社からは、栄養バランスや衛生管理、配送体制の工夫など、日々のサービス品質を支える取り組みが紹介されました。同時に、食材費や人件費、配送コストの上昇といった厳しい環境のなかでも、利用者へ安定的に届けるための企業努力が続けられていることにも触れられました。

今後の役割としてあがったのは、単なる食事提供にとどまらない、予防の観点と地域連携です。フレイル対策を意識した食の提供や、多職種・自治体との連携を通じた地域包括ケアへの参画など、配食サービスには「食を届ける」以上の機能が期待されています。病院、薬局、自治体、訪問看護師らと連携しながら、地域で健康支援型の配食サービスづくりを進めている事例も紹介されました。

また、配食サービスを「在宅高齢者を支える最後の守り手」と捉える声や、おいしさと人とのつながりの両立を大切にしたいという意見も出ました。栄養管理だけでなく、見守りや地域との接点としての役割。その広がりが印象に残るセッションでした。

トークセッションC:仕事と介護の両立支援に、保険外サービスをどう生かすか

トークセッションCでは、株式会社インターネットインフィニティー執行役員の播本賀彦氏、株式会社NTTデータ ライフデザインの湊章枝氏、株式会社チェンジウェーブグループの佐々木裕子氏が登壇し、ビジネスケアラー支援と介護保険外サービスの接点について議論しました。

冒頭では、2025年4月の育児・介護休業法改正により、企業における仕事と介護の両立支援の重要性がいっそう高まっていることが共有されました。播本氏は、法改正後に企業の相談環境が整い始め、相談件数が「倍ではきかないくらい」増えたと説明。企業がビジネスケアラーと向き合おうとする機運の高まりが感じられました。

また、実際に仕事への影響が大きいのは、平日の日中に自分で対応せざるを得ない通院付き添い、見守り、買い物代行などだという報告もありました。
湊氏は、こうした負担こそ保険外サービスで補える可能性があると説明。企業の実態調査データを活用し、必要な従業員に必要なサービスを結びつけていく仕組みづくりの重要性にも触れました。NTTデータ ライフデザインでは、企業向け支援と個人向け支援を一体で提供し、データをもとに従業員とサービス事業者をつなぐモデルを進めているといいます。

また、保険外サービスが広がるための課題として、家族の介護は子どもが担うべきという価値観の根強さもあげられました。
そのうえで、「普段は家族が対応しつつ、出張や重要な会議など、いざという時に頼れるサービス」として位置づけることで、利用の入口をつくりやすくなるのではないかという提案もありました。企業経由で案内するサービスだからこそ、信頼性や安心感が重要と、CSBAの認証制度に対する期待も伝えました。

さらに、費用面では、企業の福利厚生費の一部で保険外サービス利用を補填する仕組みづくりの必要性も伝えました。セッションでは、法定外福利費のうち育児分野は月額500円程度まで伸びている一方、介護分野は長年30円程度にとどまっているという指摘も。今後は、介護離職や生産性低下を防ぐ投資として、企業にエビデンスを示していく必要があることが強調されました。

保険外サービスが地域や企業を支える仕組みに

今回のカンファレンスを通して感じたのは、介護関連サービスが、公的介護保険を補う存在としてだけでなく、地域や企業を支える大切な仕組みとして、少しずつ広がってきているということです。

CSBAの活動報告では、認証制度が着実に広がっている様子が伝わってきた一方で、情報の整理やサービスのわかりやすい見せ方など、これから取り組んでいくべき課題も見えてきました。トークセッションでも、生活支援、配食、ビジネスケアラー支援と、それぞれテーマは異なりながらも、保険外サービスが日々の暮らしや働く人を支える場面が具体的に紹介されていたのが印象的でした。(編集部 高橋)

運営:クラウドケア

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