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50歳の再出発。会社員から介護職へ、人生を変えた学び直し【介護保険外の自費サービス ヘルパーインタビュー#6】

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は、介護保険外サービス「Crowd Care(クラウドケア)」で、ヘルパーとして活躍をする柴田さんにインタビューを行いました。

会社員から、国家資格を取得し介護ヘルパーに転身された柴田さんが、クラウドケアでヘルパーに応募したきっかけや、働きがい、大切にされていることなどをお聞きしました。

壁に立つ女性ヘルパー

50歳の再出発。会社員から介護職へ、人生を変えた学び直し
【介護保険外の自費サービス ヘルパーインタビュー#6】

▼前回のヘルパーインタビューはコチラ▼

50歳の再出発。「私も、支える側になりたい」と、介護の道へ

―――はじめに、柴田さんのこれまでのキャリアを教えてください。

 

私は、介護福祉士の資格を持っています。ですが、介護職を志したのは、50歳のときでした。
それまでは、とある企業のシステム部門で長年派遣社員として勤務していました。
しかし、病気を患い入院することになり、復帰の道が閉ざされてしまったのです。
この先、どう生きていくか、いろいろ考えました。
そのときに、ふと「介護」という道がよぎったんです。
私には息子がいるのですが、彼は生まれつき障がいを持っています。
息子がヘルパーさんに日頃お世話になっていたこともあり、“私も、支える側になりたい”という気持ちが芽生えていたことに、その時、気が付きました。
そこで、ハローワークで見つけた「失業保険を受けながら介護資格を取得できる制度」に応募し、51歳で専門学校に入学。2年間学び、無事、国家資格を取得しました。
何カ月も実習に行き、毎日レポートを手書きで書いて、ボールペンのインクが何本もなくなるくらい勉強しました。人生で一番学びましたね。

 

―――その後、どのようにクラウドケアを知ったのでしょうか。

 

介護福祉士として、資格を取得したあとは、地元の訪問介護事業所で働いていました。
訪問介護の現場では、利用者さんの急なキャンセルや時間の前後などでポツリと時間が空くことも珍しくありません。
そのときに、「この時間、何かに使えないかな」と思い、インターネットで「ヘルパー募集」と検索して、クラウドケアを知りました。
“こんな働き方があるんだ”と目からウロコでした。自分の都合に合わせて仕事が選べるって、今までの訪問介護では考えられなかったです。
登録後、すぐに面接がありました。戸惑いよりも「やってみよう」という気持ちが勝ちましたね。

席に座り、談笑する女性ヘルパー

戸惑いよりも「やってみよう」という気持ちが勝ちました、と語る柴田まりさん

―――クラウドケアで働いてみて、どう感じましたか。

 

クラウドケアで提供されるのは、いわゆる介護保険の枠には収まらない“自費”の訪問介護サービスです。
だからこそ、依頼の内容にすごくバラエティがあります。
「こんなニーズがあるんだ」と、依頼内容を読んでいるだけで勉強になりますし、自分で仕事を選べるのも魅力です。
自分に合わないかもと思う仕事は選ばなくていいので、無理なく働けるところがいいなと思います。

例えば、新しく買ったパソコンの設定を手伝ってほしいというご依頼がありました。
私は、前述のとおり介護福祉士の前に、企業のシステム部門で長年働いていましたので、利用者さんのご要望にこたえることができました。
これは、制限の多い介護保険内ではできないことですし、自分の得意が少しはいかせるのかなと思いました。
また、結婚式に出席したいというご家族の介助付き添いといった、“人生の大切な瞬間”に関わる依頼もありました。
そうした“願い”に応えられるのがクラウドケアの強みだと思います。
介護保険では、そういう場面にはなかなか関われません。
働き方の自由度だけでなく、介護職としての「関わり方」の幅広さを実感しました。

今までの介護の現場では見えなかった世界が、クラウドケアにはあると思いました。

クラウドケアの看板を持つ女性ヘルパー

”人生の大切な瞬間”に関わる依頼もありました、と話す柴田まりさん

「できることを、できる範囲で」——自分らしく働く安心感

―――クラウドケアのここがよかった、と思うところがありますか。

 

クラウドケアでは、登録ヘルパーが依頼内容を見て、自分で“手を挙げる”スタイルです。
だからこそ、自分の得意なこと、できる範囲のことを選びながら、無理なく働くことができます。
私は夜勤ができないので、そういう依頼は受けません。行ける場所、できる内容の依頼だけ選べるのがありがたいですね。
今は、クラウドケアのほかにも地元の訪問介護事業所や、近所のホームセンターでのパートなど、複数の仕事を掛け持ちしながら働いています。
年齢的に、雨の日に自転車で長時間移動したり、夜間のケアをするのがだんだん厳しくなってきて。
クラウドケアのように、短時間で選べる働き方は体力的にも助かっています。
また、アール・ブリュットの団体に参画し、休みの日にはボランティア活動も行っています。

アール・ブリュットの壁画と男性

柴田さんのご子息、アール・ブリュット作家の柴田将人さん

―――アール・ブリュットとは、どのような活動なのでしょうか。

 

「アール・ブリュット」は、加工されてない「生(き)の芸術」という意味のフランス語で、伝統や流行に左右されず自身の内側から湧き上がる衝動のままに表現した芸術のことを言います。
私が参加しているボランティア団体では、障がいを持つ方のアート(アール・ブリュット)活動の支援をしています。

きっかけは、息子が通っていた特別支援学校に、アール・ブリュット立川のボランティア募集のチラシが来たことでした。
それを見て、「参加させてください」と問い合わせて、2015年から活動に実行委員として参画しました。
絵を描いている時は、息子がとても穏やかなんです。彼にとっての安定した、大事な時間なのだと思います。

東京都立川市の公共スペースなどにも描かせてもらっていて、大きな壁画もあります。
自転車や歩行者が通る地下道の壁や、府中市のガラス窓にも絵を描いたりしています。
ぜひ、見に来てください。

アール・ブリュットの絵

柴田将人さんの絵は、かわいいお野菜がいっぱい>

 

―――息子さんのアート活動を支えながら、介護のお仕事もされていて、本当にすごいです

 

ありがとうございます。息子のおかげで介護という道にも出会えたと思っているので。
直接、今お世話になっているヘルパーさんにお返しするかわりに、私も誰かの役に立てていれば嬉しいです。
介護って、家族だけで頑張りすぎる方が多いと思うんです。
でも、プロに頼ることは恥ずかしいことではないですし、私たちヘルパーは何も気にしません。おうちが散らかっていても大丈夫。何があっても、「そういう環境もあるよね」と。
介護も、子育ても、地域で、周りのみんなで支えていくものだと思っています。
最初だけ少し勇気がいるかもしれませんが、頼ってみてください。プロに任せたほうが、きっと楽になりますよ。

アール・ブリュットの絵

柴田将人さんのサンゴ礁の学校は、とてもカラフルです

―――最後に、柴田さんにとって、介護とはどういうものですか。

 

私にとって、介護とは、「生活そのものを支えること」だと思っています。

介護は “身体介護”に注目が集まりがちですが、意外と求められているのは“生活の中の困りごと”だったりします。
介護保険では対応できない家事、季節の衣替え、ペットの世話など……。
例えば、「日常的な家事ではないから」と、介護保険内では、窓掃除や電球交換などもできなかったりします。こちらとしては、技術的に可能だしやってあげたい気持ちはあるのに、できない。
とても歯がゆい思いをすることがあります。
本当は「サポートがあれば生活が助かる」けれど、「制度では頼めない」そんなニーズが現場には山ほどあります。
だからこそ、クラウドケアのような、介護保険外の自費サービスが必要だと思います。

窓際に立ち微笑む女性ヘルパー

プロに頼ることは恥ずかしいことではないです、と語る柴田まりさん

「頼っても、いいんです。私たち介護のプロに頼ってください」

柴田さんのお話しを聞いて、介護の仕事のやりがいを感じられた方も多いのではないでしょうか。
誰かの“こうしたい”という気持ちを支えるのが、私たちの仕事だと、柴田さんはおっしゃられていました。
その気持ちを、制度に縛られずに応援できる働き方が、クラウドケアでは実現できます。自分らしく、無理なく、でも誰かの“生活”を支えられる。 
柴田さんの言葉には、介護の仕事の温かさと可能性が詰まっていました。

(聞き手:けあむすび編集部 亀割)

 

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