こんにちは、けあむすび編集部です。
今回は、夜間対応型訪問介護について、学んでいきます。
在宅介護をしていると、夜の間だけでも誰かの助けを借りたいという方が多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめの支援が「夜間対応型訪問介護」です。
夜間対応型訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)などが夜間時間帯に利用者の自宅に来てサポートしてくれるサービスを指します。
夜間対応型訪問介護では、具体的にどのようなサービスが行われるのでしょうか。
夜間対応型訪問介護の内容やメリットをはじめ、利用するための条件や利用方法を解説します。
夜間対応型訪問介護のサービス内容や特徴
夜間対応型訪問介護は、夜間を含めて24時間自宅で安心して生活できる体制を整備する観点から、2006年4月に介護保険制度の改正によって創設されました。
22時から翌朝6時までの時間帯を含む夜間帯がサービス提供時間となっており、訪問介護員などが自宅を訪問してオムツ交換、体位変換、水分補給などのほか、必要に応じた呼び出しへの対応や、連絡への応答などを行ってくれるサービスです。
夜間対応型訪問介護には、定期巡回、随時訪問サービス、随時対応サービス(オペレーションセンター)の3種類があります。それぞれのサービス内容と特徴、メリットをご紹介します。
定期巡回サービス
定期巡回は、18時から翌朝8時までの 時間帯に、訪問介護員などが定期的に自宅を巡回するサービスです。
安否確認、オムツ交換、体位変換、水分補給など夜間において定期的に必要になるケアを提供するもので、あらかじめケアプランで決められた時間に訪問介護員が自宅を訪問します。
1回の訪問は約30分程度と、短時間でケアを行うことが多いのが特徴です。
随時訪問サービス
随時訪問サービスは、利用者からの要請を受けて自宅に訪問するサービスです。
ベッドから転落してしまったときや、急に体調不良になったときなど、随時の呼び出しに応じて訪問介護員などが自宅に駆け付けます。呼び出しはサービス契約時に配布される「夜間対応型訪問介護専用のケアコール端末」等によって行います。
決められた夜間帯内であれば、何度でも利用することができます。ただし、随時訪問サービスは料金が都度発生するため、何度も利用すると利用料が高額になってしまう可能性もありますので注意しましょう。
随時対応サービス(オペレーションセンター)
随時対応サービス(オペレーションセンター)は、利用者がケアコール端末等を用いて連絡するとオペレーションセンターにいるオペレーターが応答し、通報内容や必要に応じた適切な対応をするサービスです。救急車の手配、主治医への連絡、困りごとへのアドバイス、利用者の相談相手など、幅広く対応してくれるのが特徴です。なお、訪問介護員の派遣が必要な場合は、前項の随時訪問サービスとして行われます。
オペレーションセンターとは、利用者の通報をオペレーターが受け、指示やアドバイスをしたり、ホームヘルパーを派遣したりする機関のことで、利用者約300人に対し1ヵ所設置されています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護との違い
夜間対応型訪問介護と似た内容を提供する介護サービスとして、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。これらの違いとしては、以下の点が挙げられます。
サービス利用時間
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間サービスを提供していますが、夜間対応型訪問介護の場合、利用できるのは夜間のみです。夜間対応型訪問介護の利用時間は、22時から6時までの夜間帯で、8時から18時の日中の時間帯は対象外となっています。なおサービス提供時間はそれぞれの事業所によって異なっており、19時から翌5時まで、0時から7時までなどさまざまです。
医療対応ができない
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、看護師が訪問する訪問看護も行われています。そのため、看護師が訪問して療法生活のサポートを行ったり、主治医の指示によって自宅で医療処置をしたりといった医療対応が可能です。それに対し、夜間対応型訪問介護では医療行為ができません。
料金の支払い方法
夜間対応型訪問介護は、月額基本料金に加えて、サービスを利用した回数に応じて料金が加算されます。一方で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の場合は月額制が基本です。
なお、料金については地域や利用する事業所によって異なりますので注意しましょう。
利用に適しているケース
夜間対応型訪問介護は、以下のような場合に適しているサービスと言えるでしょう。
夜間でも頻繁に介助サポートが必要な場合
就寝後の寝返り介助、オムツ交換、就寝支度の支援など、夜間に必要になるサポートにはさまざまなものがあります。高齢者や特定の疾病をお持ちの方など、夜の時間帯にオムツ交換、体位変換、水分補給などの介助が必要な場合は、夜間対応型訪問介護が適しているでしょう。
家族が遠方に住んでいる、または家族による介護が困難な場合
家族と離れてひとり暮らしをしている場合や、夜間は家族での介護ができない場合にも、夜間対応型訪問介護の利用がおすすめです。呼び出しに応じて駆け付けるには自宅が遠かったり、同居していても異変に気付けない状況だったりと、家族だけの介護では手が届かないことも少なくありません。
夜間に転倒リスクや体調変化がある場合
夜トイレに行こうとして転んでしまったり、就寝中に急に体調が悪化してしまったりと、夜間にトラブルが起きるケースも多くあります。特に立ち上がりや歩行が不安定な方や体調が変わりやすい方は、夜間のサポートを受けることで安全に生活することができるでしょう。
サービスを利用できる条件
夜間対応型訪問介護を利用するためにはいくつかの条件があります。
サービス利用を検討している場合は、まずは条件に合うかどうかを確認しましょう。
要介護1以上の認定を受けていること
夜間対応型訪問介護は、要介護1以上の認定を受けていることが条件です。自立、要支援1または2の場合はサービスを利用することができません。なお、要介護認定は、65歳以上の高齢者または40歳以上65歳未満の特定疾病の方が申請できます。
事業者と同一の市町村に居住していること
夜間対応型訪問介護は地域密着型サービスのため、利用者の居住地がサービス事業者と同一の市町村であることを条件としています。利用を検討している場合には、お住まいの市区町村に事業所があるか調べておくとよいでしょう。
利用者の援助に該当する内容であること
サービス内容は、直接利用者の援助に該当すること、また日常生活の範囲内であることに限られます。夜間に必要になるオムツ交換、体位変換、水分補給などの身体介護のほか、安否確認や起き上がりの介助などが中心となります。夜間時間帯であっても、利用者の援助とならない家事などは該当しないため、例えば、利用者の家族のための家事やペットの世話などはサービス内容に含まれません。
夜間対応型訪問介護のメリット
利用者の夜間の生活をサポートしてくれる夜間対応型訪問介護には、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。
ひとり暮らしの高齢者が安心して暮らすためのサポートを受けられる
家族と離れて暮らす場合、夜間対応型訪問介護を利用することで安心して生活できるでしょう。介護では、夜間にオムツ交換やトイレ介助、寝返り介助、安否確認やバイタルチェックなどが必要なケースが多くあります。
夜間対応型訪問介護は、夜に起きるさまざまな問題や不安をサポートしてくれる頼もしい存在です。
特に家族が遠くに住んでいる場合は、何か起きてもすぐに駆け付けることは難しいものです。夜間対応型訪問介護を利用すれば、夜間の急なトラブルにもすぐに対応してもらえます。
夜間の緊急時にもすぐ通報できる
家族との同居・別居を問わず、夜間の急な体調不良やケガは不安を感じるものです。
夜間にトラブルが起きても、すぐに対応してもらえるのは大きなメリットと言えるでしょう。ケアコール端末は簡単なボタン操作で通報できるため、高齢者でも安心です。家族だけでは対応できない事態でも、介護のプロの訪問や必要に応じて救急車を手配してもらえるなど、心強いサポートを受けられます。
家族の介護負担を軽減できる
家族だけで夜間まで介護を行うのは、介護する側にとって体力的にも精神的にも負担が大きいでしょう。数分の介助であっても、毎日夜間のオムツ交換や排せつ介助、起き上がり介助などをするのは大変なことです。昼間は家族で対応できるけれど夜は誰かに頼りたい場合や、人の目が届きにくくなる夜間の安否確認をお願いしたい場合などに夜間対応型訪問介護はぴったりです。
利用費用の目安
夜間対応型訪問介護の利用料金は、利用する事業所のオペレーションセンターの設置の有無によって異なります。
夜間対応型訪問介護 利用費用の目安
オペレーションセンターの設置 |
項目 |
利用者負担額 |
あり |
月額基本料金 |
1ヵ月 989円 |
定期巡回 |
1回あたり 372円 |
|
随時訪問(1名による訪問の場合) |
1回あたり 567円 |
|
随時訪問(2名による訪問の場合) |
1回あたり 764円 |
|
なし |
月額基本料金 |
1ヵ月 2,702円 |
※利用者負担額は、負担割合1割の場合
オペレーションセンターが設置されている事業所を利用した場合は、月額基本料金に加えて、定期巡回や随時訪問を利用した回数分の利用料金が加算されます。
例えば、定期訪問を週3回(1ヵ月で12回)、訪問介護員1名による随時訪問を2回利用した月は、6,587円の費用がかかります。
オペレーションセンターがない事業所を利用している場合は、月額基本料金のみとなり、2,702円の負担となります。なお、ケアコール端末の利用料やオペレーションセンターサービスの利用料は、すでに料金に含まれているため、別途請求されることはありません。
上記の表の金額は目安とされている、基本的な料金です。地域や事業所によっては金額が異なる場合がありますので、実際にサービスを利用する際には、利用料金についてよく確認しておきましょう。
サービスの利用方法
夜間対応型訪問介護のサービスを利用するには、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。
要介護認定を受けておらず、担当のケアマネジャーがいない場合は、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターに申し出て、先に要介護認定を受ける必要があります。
その後、ケアマネジャーと相談しながら夜間対応型訪問介護サービス事業所を選定します。ケアマネジャーは、利用者の状態を把握したうえで、必要なサービス内容や回数を検討して、ケアプラン(夜間対応型訪問介護計画)を作成します。事業者からサービス内容の説明を受け内容について承諾したら、契約を行い、サービス開始となります。
サービス事業所の選び方のコツ
事業所選定の際、特に見ておきたいポイントをご紹介します。
厚生労働省の調査によると、2023年10月時点の夜間対応型訪問介護事業所の数は全国で221事業所と少ないのが現状です。また、市区町村に必ず設置されているわけでもありません。多数の中から選べる状況ではなくても、事業所を決める際にはこれらのポイントに注意しておくとよいでしょう。
なお、クラウドケアが提供している介護保険適用外の自費訪問介護サービスでは、夜間帯にも利用が可能です。見守りや話し相手など夜間のケアサービスをお探しの場合は、クラウドケアのサービスをご一考ください。
オペレーションセンター設置の有無
利用料金は、その事業所にオペレーションセンターがあるかどうかで変わります。利用を検討している事業所にオペレーションセンターが設置されているかどうか、必ず確認しましょう。なお、オペレーションセンターの設置有無にかかわらず、利用者にはケアコール端末が配布されます。事業所内にオペレーションセンターがない場合は、外部のオペレーションセンターサービスを利用することができます。
サービス内容や料金の確認
オムツ交換、見守り、夜間の相談相手など、必要なサービスはそれぞれ異なります。利用者が必要とするサービスを受けられるか、料金とあわせてよく確認しておくことが大切です。
また、夜間対応型訪問介護では8時から18時までの日中は利用できません。日中の訪問介護が必要な場合は、訪問介護を行っている事業所と別途契約する必要があります。なお、事業所によっては24時間通報対応加算として、日中の訪問介護と連携することができるところもあります。ただし、利用には追加料金がかかりますので注意しましょう。
想定される具体的なケースに対応してくれるか、料金はどのように決まるのかなど、丁寧に説明してくれる事業所を選びましょう。
スタッフ対応
介護はスタッフとの相性の良し悪しによって、利用の満足度が大きく異なります。問い合わせの際の態度や説明の丁寧さ、対応時の態度や、実際に訪問してくれる訪問介護員の様子などをチェックしましょう。夜間や緊急時の対応を任せられる相手か、親切に対応してくれるかなど、利用者やその家族との相性の良さを確認しておくことがポイントです。
まとめ
夜間対応型訪問介護では、定期巡回、随時対応、オペレーションセンターサービスの3つのサービスが提供されます。
夜間帯のオムツ交換、体位変換、水分補給など、利用者が夜も自宅で安心して暮らせるためのサポートを受けられます。
家族と離れて暮らしている場合や、夜間の介護が家族の負担になっている場合には心強いサービスです。
利用の際には、ニーズに合ったサービスが受けられるか、担当のケアマネジャーとよく相談して決めましょう。
なお、夜間対応型訪問介護は事業所の数が少なく、利用できる市町村は限られているのが現状です。
夜間における身体介護をはじめ、話し相手や見守りなどのサービスをお探しの場合は、クラウドケアなどの介護保険外サービスを使用するという方法もあります。
介護保険と介護保険外のサービスを、上手に併用していけると良いですね。