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地域に“リハビリ”の選択肢を——脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアが描く新しい支援のかたち#2

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は、前回に引き続き、脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表にインタビューを行いました。
自費訪問リハビリについて、また、クラウドケアとの新たな取り組みについて、詳しくお話しをお聞きします。

地域に“リハビリ”の選択肢を——脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアが描く新しい支援のかたち#2

左:脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表
右:クラウドケア 小嶋潤一代表

「実は、クラウドケア代表の小嶋さんとは、学生時代のインターンで一緒だったんです(笑)」
そう語るのは、脳梗塞リハビリステーション・グループの齋藤直路代表。
現在、脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアは、訪問型リハビリ支援の連携プロジェクトを展開していますが、その原点はなんと20年ちかく前に遡るといいます。
現在の取り組みや、想いなどをお聞きしました。

前回のインタビュー記事はコチラ▼

保険外(自費) 訪問リハビリサービスのトライアル協業、そして本格スタートへ

 

——脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアの連携が始まったのは、いつごろだったのでしょうか?

 

最初の連携は、2022年頃です。ご自宅への訪問リハビリというかたちで、エリアを限定したトライアルを実施しました。

そんな中、エリア外からも保険外 (自費) の脳卒中の後遺症リハビリサービスを利用したい、保険内のリハビリだけでは足りていない、リハビリ病院を退院した後のリハビリが不安、関節や筋肉の痛みなど整形外科疾患のリハビリはできるのかといったという声を多くいただき、ご自宅やご入居する施設に訪問してマンツーマンで徹底したリハビリ提供を行うことへのニーズの高さと、医療や介護保険のリハビリテーションのサービスだけではニーズを満たせていないことを実感しました。

そこで今回、2025年2月から本格的に、訪問リハビリでの連携をスタートすることになりました。

リハビリ専門職と利用者を“直接つなぐ”仕組み

 

――どのような取り組みであるか、具体的に教えてください。

 

脳梗塞リハビリステーション・グループと、クラウドケアは、保険外の自費訪問リハビリ(リハビリテーション)サービスの連携をしています。

具体的には、脳梗塞リハビリステーション・グループが提供する、「脳梗塞リハビリステーション・グループ」のノウハウを活かし、国家資格 (作業療法士・理学療法士) を持つ方のリハビリスタッフとしての面接・研修を実施します。
面接・研修を終えた、リハビリスタッフは、クラウドケアに登録をします。
そして、クラウドケアを通じて、利用者とマッチングし、ご自宅やご入居する施設に訪問してマンツーマンで徹底したリハビリを提供します。

医療保険や介護保険のリハビリではカバーしきれない方、発症して数年経った脳卒中後遺症の方、関節や筋肉などに痛みがある整形外科疾患の方、その他のリハビリが必要な方向けに、改善を目的とした集中的な施術を行います。

実際に、ご応募いただいたり面接をした理学療法士・作業療法士の方は100名以上います。どなたも専門性が高く、対人支援に真摯な方ばかりです。

黒い服の男性が向き合い、議論をする

脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアの取り組みを語る二人

――リハビリ対応可能なケースを、教えてください。

 

リハビリ対応可能なケースは、神経疾患と、整形外科疾患の二つがあります。

神経疾患は、脳卒中 (脳梗塞・脳出血・くも膜下出血) 、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 、多発神経炎、筋ジストロフィーがあります。

整形外科疾患は、関節リウマチ、廃用性症候群、肩こりや腰痛などがあります。

訪問リハビリは、1回1時間から、お試しで利用が可能です。どうぞ、お気軽に依頼をしてみてください。

施設とは違う、個別支援の魅力

 

——訪問リハビリは、施設リハビリとどのように違うのでしょうか?

 

脳梗塞リハビリステーション・グループが運営する、保険外リハビリ事業である、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症リハビリ専門の施設「脳梗塞リハビリステーション・グループ」では、専門設備を備えた空間で、医療機関と同等のトレッドミルや電気治療機などを使いながらリハビリができます。

一方で、クラウドケアとの連携では、個人のご自宅が中心です。

そういった機器は使えない代わりに、「ご本人が生活する環境そのもので支援できる」というメリットがあります。

ご自宅の限られたスペースの中でも、その方に合ったプログラムを組み、改善につなげていきます。

たとえば、実際に使っている椅子やベッドでの動作練習、トイレや玄関の段差への対応など、「生活の改善」に直結したサポートが可能です。

諦めない気持ちを引き出し、改善を目指すリハビリ支援

 

——リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士)への研修では、どのような点を重視されていますか?

 

もちろん、リハビリ技術や知識も大切ですが、私たちが特に大切にしているのは、「諦めている方を前向きにする関わり方」です。

脳梗塞の後遺症などで「もう改善は難しい」と感じている方も多くいます。でも、実際には改善の事例はあります。

私たちは、そういった方々の「諦めない気持ち」を引き出すための関わりや声かけ、支援の在り方を大事にしています。

ですので、リハビリ専門職の方たちへも、この想いやビジョンを強く伝えています。

 

――齋藤さまから見る、クラウドケアの魅力とは?

 

クラウドケアの魅力は、「人を丁寧につなげる力」だと思います。

マッチングサービスというと、効率重視だったり、質の担保が難しいことも多いのですが、クラウドケアはそこを丁寧にやっている。

しっかり、ひとりひとりヘルパーさんと面談をして、研修をして、「この人なら安心してお願いできる」と思える方だけを採用する仕組みがあります。
利用者やご家族にとって、これは大きな安心材料になります。

多くのマッチングサービスは、誰が来るかわからない、品質にバラつきがあるという課題があります。
でも、クラウドケアは、面談や研修を徹底し、「人を通じた安心感」を大切にしている。

リハビリは、技術以上に「人との相性」や「信頼関係」が重要です。
だからこそ、クラウドケアのような仕組みがあってこそ、専門職の力がきちんと届くのだと思います。

自費訪問リハビリ (リハビリテーション)サービスの未来を語る男性二人

自費訪問リハビリ (リハビリテーション)サービスの未来は?

地域にリハビリを根づかせるために

 

——今後、クラウドケアと連携をしている、自費訪問リハビリ (リハビリテーション)サービスを、どう広げていきたいと考えていますか?

 

今後は、リハビリ職が“もっと身近な存在”になる社会を目指していきたいです。

いま、リハビリの専門職と一般の方が出会う場所って、ほとんどが病院か施設ですよね。
でも、実際には全国に何万人という有資格者がいて、皆さんの住んでいる街の中にも、潜在的な支援者(=専門職)はたくさんいます。
クラウドケアのような仕組みが広がれば、専門職がもっと地域に出て、日常の中で活躍できる——そんな未来がつくれると信じています。
「困ったとき、誰に相談したらいいか分からない」という声は本当に多いです。
でも、その隣に、頼れる専門職が“見える形”で存在していれば、不安は確実に減ります。

窓際に立つ男性の写真

諦めない気持ちを引き出し、改善を目指す、と話す
脳梗塞リハビリステーション・グループ 齋藤直路代表

リハビリの選択肢を、もっと身近に

医療・介護の枠組みにとらわれず、専門職の力を地域の中に届ける—— 脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアの連携は、そのための新たな選択肢を生み出しています。
制度の間に取り残されがちな人たちに、必要な支援が届くように。 そして、諦めずに前を向ける人を、そっと後押しできるように。
「専門職とつながれる社会」を実現する取り組みは、これからの介護・医療の大きな一歩になるかもしれません。

(聞き手:けあむすび編集部 亀割)

 

脳梗塞リハビリステーション・グループとクラウドケアが連携した
訪問リハビリサービス

 

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