こんにちは、けあむすび編集部です。
今回は「外出時に介助をしてくれるヘルパー」を探し、介護保険外の自費訪問介護サービス「Crowd Care(クラウドケア)」を利用する本間さんにインタビューを行いました。
介護保険外の自費訪問介護サービスの利用事例として、公的介護保険との使い分けや利用した感想をお聞きしました。
【介護保険外の自費訪問介護サービス 利用事例13】
前回のインタビュー記事はコチラ▼
- 「社会とのつながりを持ち、楽しく暮らしたい」その想いをサポートするスポットで依頼可能な介護保険外の自費訪問介護サービス
- 介護保険外サービスのおかげで自分の行きたい場所に行ける、自分の好きなことができる、そんな時間を持てています。
- 介護保険外の自費訪問介護サービスで、障がいなどを抱え、出勤が難しい方の「会社の雰囲気を感じたい」という想いをサポート
「社会とのつながりを持ち、楽しく暮らしたい」その想いをサポートするスポットで依頼可能な介護保険外の自費訪問介護サービス
ーーはじめに、本間さんご自身について教えてください。
私は生まれつき脳性麻痺があり、手足を自由に動かすことができません。
身体障害者手帳の1級を持っています。
小さい頃は、病院で過ごすことも多く、学生時代は特別支援学校に通っていました。
卒業後は福祉園で生活していました。
ただ、福祉園での生活を続けるうちに、「より密接に社会とつながりを持ちたい」という意欲が大きくなっていきました。そのタイミングで、就職しようと決意したのです。
何か自分にできることはないか、と考えたときに思い浮かんだのがパソコンでした。
エンジニアになるために独学で参考書を買い込み、本を何冊も読みながら、夢中で学びました。
ちょうどその頃、福祉園を辞めるきっかけがありました。
親とは意見が食い違うこともありましたが、自分の気持ちを話し、最終的には納得してもらえて退園を決めました。
もちろん不安もありましたが、「仕事をしたい、もう一歩踏み出したい」という気持ちが強かったんです。
そんな中、偶然、在宅でプログラミングを教えてくれる支援事業者を見つけました。
その場ですぐに問い合わせて話を聞くと、教えてもらうためには試験を受けなければならず、毎回30人ほど受験して、合格できるのは5人だけという狭き門でした。
けれど、諦めずに挑戦し、なんとか合格することができました。
そこでは、2年間かけてプログラミングの基礎からじっくり学ぶことができ、本当に大きな転機になりました。
今は、肢体不自由のある人たちがもっと自由にインターネットやテクノロジーに触れられるように、そうしたプロダクトを開発する会社でエンジニアとして働いています。
ソフトウェア開発を通して、自分の経験が誰かの役に立てたらという思いで仕事に取り組んでいます。
現在は、母と弟と3人で暮らしていて、家の中では母が介助してくれています。
移動は電動車椅子を使っています。
介護保険の生活支援サービスは利用していませんが、訪問リハビリは受けています。
数年前に皮膚に悪性腫瘍が見つかり、手術を受けました。
無事に手術は成功しましたが、今も半年に一度、経過観察のために病院へ通っています。
頚椎ヘルニアもあり、こちらは年に一度診察を受けています。
そのため、通院付き添いなど、外出が必要なときには介護保険外サービスも使っています。
ーー介護保険外の自費訪問介護サービスを利用するまでの経緯を教えてください。
介護保険外サービスを利用し始めたきっかけは、頚椎ヘルニアになってからです。
私一人では外出が難しくなってしまったので、「これから先、どうしよう」と考えるようになり、介護保険外のサービスを使うことにしました。
最初は地域のヘルパー派遣事業所をいくつか調べて、2か所を併用するかたちで使っていました。
具体的には、通院の付き添いや床屋に行くとき、出勤時のサポートなどで使っています。
あと、趣味のスポーツ観戦に行くときも利用しています。
外に出るときは、トイレのことなど一人では対応しきれないこともあるので、ヘルパーさんの存在は本当に心強いです。
試合を観ながらビールを飲むのが好きなのですが、ヘルパーさんがビールを買ってきてくれて、一緒に観戦してくれることもあります。とても楽しい時間ですね。
しかし、昨年頼んでいた事業所からヘルパーの人手不足を理由に「介護保険外での対応は難しい」と言われてしまって。正直、困ったなと思いました。
そんなときに友人に相談したりしていたところ、知り合いが新しく介護事業所を立ち上げて、月に一度なら介護保険外でヘルパーを派遣できそうだという話を聞いて、お願いすることにしました。
また、自分でもいろいろ検索している中でクラウドケアを見つけました。
他のサービスでは、定期的に同じ時間・曜日での利用じゃないと対応が難しいと言われることも多かったんですが、クラウドケアはスポットで1時間からでも利用できるというのが魅力で、今は月に1〜2回ほどお願いしています。
脳性麻痺の関係で、発音が聞き取りにくくなってしまうときがあるので、電話が必要なく、依頼などを全てネットで完結できる点も助かりますね。
やっぱり、家の中では母のサポートがあるのでなんとか生活できるんですが、外に出るとなるとどうしても一人では難しいことが多いんです。
だからこそ、こうしたサービスを使って、自分が行きたい場所、やりたいことを自由にできるというのは、本当にありがたいことだなと感じています。
ずっと家の中に閉じこもっていたら、きっとつまらない人生になってしまう。
だからこそ、外の空気を吸ったり、会社の雰囲気に触れたりすることで、「自分は社会とつながっている」という実感を持ち続けたいと思っています。
実際、会社にも定期的に出社して、みんなと顔を合わせてミーティングをするようにしているんです。
そうすることで、孤独感も少し和らぎますし、自分の居場所があるって思えるんです。
介護保険外サービスのおかげで自分の行きたい場所に行ける、自分の好きなことができる、そんな時間を持てています。
ーークラウドケアではどんなご依頼をされているのですか?
先ほどもお話ししましたが、クラウドケアさんにはいろいろな用途でお願いしています。
最近お願いしたのは、床屋さんへの付き添いです。
行きつけの床屋さんがありまして、実はそこには子どもの頃からずっと通っていて、もう40年近いお付き合いになります。
昔は家のすぐ近所にあったんですが、わたしが引越しをした関係で、今は電車で数駅先まで行かないといけない距離になってしまったんです。
それでも、できる限りその床屋さんに行きたいと思っていて、そのためにクラウドケアさんの力をお借りしています。
当日は、まず自宅でヘルパーさんと待ち合わせをします。
電動車椅子に乗って外出する必要があるので、前から抱きかかえるようなかたちで丁寧に移乗してもらい、シートベルトをしっかり締めて出発します。
駅までは一緒に歩いてもらいながら、必要に応じて車椅子での移動をサポートしてもらっています。
駅に着いたら、切符を買っていただいたり、乗車する電車の行き先を駅員さんに伝えてもらって、スロープを出してもらうなどの対応もお願いしています。
こうしたひとつひとつのやり取りを代わりにしてもらえるのは、本当にありがたいです。
床屋に着いてからも、理容椅子への移乗を手伝ってもらったり、シャンプーの際には身体がぐらつかないように支えてもらったりと、細やかな介助が必要になります。
支払いのときにもサポートをお願いしていますし、終わった後はまた駅まで戻って、家まで一緒に帰ってきてもらいます。
この間の床屋さんでは、髪のカラーもお願いしたので、滞在時間が長くなってしまい、トータルで3時間半ほどの依頼になりました。
ーー公的介護保険と介護保険外の自費訪問介護サービスの使い分けはどのようにされていますか?
家の外の用事(通院や出勤、趣味の付き添い)については、介護保険での利用が難しいため、介護保険外の自費訪問介護サービスを利用しています。
ーークラウドケアを利用してみていかがでしたか?
クラウドケアさんを利用してみて、一番感じたのは「安心できる」ということです。
来てくださるヘルパーさんたちは、皆さんしっかりと経験があって、私の身体の状況や必要なサポートをすぐに理解してくれるんです。その安心感がとても大きいですね。
「こうしてほしい」と細かく説明しなくても、状況を読み取って対応してくださるので、本当に助かっています。
それから、システムの面でもありがたいと感じることが多いです。
私は外出時にお願いをするので、天候や自身の体調・予定の都合で、どうしても急に依頼をすることがあるんですが、クラウドケアさんはスポットで頼めるので、そういうときにも柔軟に対応してもらえるのが本当に助かっています。
マッチングしたヘルパーとは、当日を迎える前に「こういう場所に行く予定で、こういうサポートが必要です」と事前に伝えられる仕組みもあるので、お互いにとってスムーズに準備ができるのもいいなと思っています。
そして何よりも、自分の行きたい場所に行ける、自分の好きなことができる、そんな時間を持てることが、とても嬉しいですね。
介護保険外の自費訪問介護サービスで、障がいなどを抱え、出勤が難しい方の「会社の雰囲気を感じたい」という想いをサポート
今回は、「外出時に介助をしてくれるヘルパー」を探してクラウドケアを利用している本間さんのお話を伺いました。
インタビューでは、実際に床屋への付き添いにも同行させていただき、普段の外出の様子を垣間見ることができました。
そしてなんと、その翌日には本間さんが勤める会社で開催されるセミナー「重度肢体不自由者の就労と可能性」に登壇されるとのこと。
脳性麻痺というハンディを抱えながらも、エンジニアとしてしっかりとチームの一員として活躍されている姿に、心を動かされました。
本間さんいわく、同じように脳性麻痺を持ちながらエンジニアとして頑張っている方は他にもいるそうで、それぞれが自分のペースで力を発揮しているのだと教えてくれました。
通勤が難しい状況でも、「社内の雰囲気を感じたい」「仲間と直接顔を合わせたい」という気持ちを大切にしながら、介護保険外の自費訪問介護サービスを活用して出社の機会をつくっている本間さん。
そのサポートの一端を担えていることを、とても嬉しく思っています。
(聞き手:けあむすび編集部 高橋)
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