あなたの知りたい介護が見つかる、つながる

要介護認定を受けるには? 介護保険サービスや要介護認定の申請方法など詳しく解説

こんにちは。けあむすび編集部です。
今回は、要介護認定について、学んでいきます。

要介護認定

介護認定を受けるにはどうする?

介護保険を使った公的な介護サービスを利用する際に必要になるのが「要介護認定」です。要介護認定とは、対象者がどのような介護をどの程度必要とするかを7段階の数値で表したもので、要介護区分によって利用できるサービスの種類や限度額が異なります。

介護保険とはどのような制度なのか、要介護認定の区分、申請の流れやポイントなど、要介護認定を受けるために必要な情報を解説します。

介護保険とは?介護保険の概要やサービス内容を解説

そもそも介護保険とはどのような制度なのでしょうか。介護保険制度の概要や、利用できる代表的な介護サービスの種類について解説します。

介護保険制度の概要

介護保険制度は高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みとして創設されたもので、2000年(平成12年)に介護保険法として施行されました。介護保険は、市町村および特別区を保険者、40歳以上の国民全員を被保険者としています。そして、40歳以上の被保険者は、介護保険料を支払う必要があります。
被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40歳~64歳で特定疾病のある第2号被保険者の2種類です。なお特定疾病とは、以下の16種類の疾病です。

  • がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限定)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  • 脊髄小脳変性症(SCD)
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症(MSA)
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

第1号被保険者は原因を問わず、要支援・要介護状態になった場合に介護保険サービスが利用可能です。第2号保険者は加齢に伴う上記の特定疾病が原因で要支援・要介護状態になった場合に介護保険サービスが利用できます。

介護保険は現金給付ではなく、介護サービスの提供という形で保障されます。要介護認定を受けて介護サービスを利用する場合、原則1割の自己負担で利用できますが、所得によっては2~3割負担になる場合もあります。

介護保険を使って利用できる介護サービスとは?

介護保険を使って利用できるサービスを大きく分けると、「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着型サービス」の3種類です。
居宅サービスと施設サービスは都道府県、政令市、中核市が指定・監督を行い、地域密着型サービスは市町村が指定・監督を行っています。

状況に応じたさまざまなサービスが展開されていますが、要介護区分によって利用できるサービスは異なるので注意しましょう。

居宅サービス

居宅サービスは、在宅で受ける介護サービスです。基本は自宅で生活しながら、必要に応じて介護保険のサービスを受けられます。居宅サービスの代表的なものとして、通所介護(デイサービス)、訪問介護(ホームヘルパー)、訪問看護、通所・訪問リハビリテーション、訪問入浴、福祉用具貸与などがあります。

施設サービス

施設サービスとは居住系サービスのことをいい、介護施設に入所してサービスを受けることを指します。特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、介護医療院などが施設サービスに含まれます。

地域密着型サービス

地域に密着した小規模な施設等で行われるサービスが地域密着型サービスです。住み慣れた市町村で提供されるサービスであり、基本はその市町村に住んでいる方のみ利用できます。代表的なサービスとしては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)、小規模多機能型居宅介護などがあります。

要介護認定とは?要介護区分や各区分の目安を解説

要介護と要支援

要介護認定には、要支援と要介護があります

介護保険を使った介護サービスを受けるには、支援や介護が必要だと認められる必要があります。日常生活において、どのくらい支援や介護が必要なのかを定めたものが要介護認定です。

要介護区分とは何か、それぞれどの程度の状態なのか、おおまかな目安を紹介します。

要介護区分とは?

要介護区分は、被保険者がどの程度の介護を必要とするのかを「要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5」の7段階で示したものです。このうち要支援1が最も軽く、要介護5が最も重い区分になります。どの区分に該当するかによって、受けられるサービス内容や1か月あたりの利用限度額が異なります。基本的に、要支援では介護が必要な状態にならないための予防サービスが、要介護の場合では日常生活を営む上での介護サービスが提供される点が大きな違いです。

要介護度は要介護認定の審査の中で決定され、自分で選ぶことはできません。なお、日常生活上の基本的動作および薬の内服や電話などの手段的日常動作を行う能力がある場合は、要介護認定において支援不要と判断されることもあります。この場合、要介護区分は非該当(自立)となり、介護サービスも利用できません。

要支援と要介護の違いとは?

要支援とは、日常生活の基本動作はほとんど自分で行えるが、買い物、掃除、料理、金銭管理などの「手段的日常動作」について何らかの支援を要する状態を指します。日常生活動作の介助を行うことで、要介護状態になることの予防につながる場合に認められます。そして、要介護は、日常生活上の基本動作についても自分で行うことが困難で、何らかの介助が必要な状態です。
なお、法令では以下のように示されています。

【要支援状態の定義】

「身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。」(介護保険法第7条第2項)

【要介護状態の定義】

「身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。」(介護保険法第7条第1項)

要支援1・2と認定されると、介護予防サービスが利用できます。サービス利用を希望する場合は、地域包括支援センターに相談して介護予防ケアプラン(介護予防サービス計画)を作成してもらいましょう。

要介護1~5に認定された場合は、居宅サービスや施設サービスなどの介護サービスが利用可能です。サービス利用の際には、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所に相談して、ケアプラン(介護サービス計画)の作成を依頼しましょう。

要支援と要介護を分ける境界としては、認知機能と状態の安定性の2つがポイントになります。認知機能としては、軽度の認知機能の低下が見られるかが重要な点です。要支援状態への回復が難しい場合は要介護1以上に区分される可能性があるでしょう。状態の安定性とは、心身の病状ではなく、必要とする介護や介助の量が6か月以内に増える可能性があるかどうかで判断されます。認知機能の低下が見られなくても、近いうちに介護が必要になると判断された場合は、要介護1以上になる可能性があります。

要介護区分の目安

要介護区分には7段階ありますが、それぞれどの程度の状態を指すのでしょうか。要介護区分ごとの身体的・精神的な状態の目安をご紹介します。

ただし、被介護者の状態はケースバイケースです。要介護認定においても、それぞれの様子や暮らしている環境などを踏まえて要介護区分が決定されるため、あくまで目安として参考にしてください。

要介護区分

状態の目安

要支援1

日常生活の基本的動作はほとんど自分でできる状態。家事などのサポートをすることで、要介護状態になることを防ぐことができる。

要支援2

要支援1よりも支援する範囲が広い状態。入浴時に背中を洗ったり、浴槽をまたいだりする際に支援をする必要がある。

要介護1

要支援状態よりも、買い物、服薬・金銭管理、電話などの手段的日常生活動作を行うことが難しい状態。排せつや入浴の際に見守りや介助をする必要がある。

要介護2

起立や歩行などの日常生活動作に部分的な介護が必要な状態。爪切り、着替えなどの日常動作にサポートを要する。薬の飲み忘れなど認知症の初期症状が見られる場合もある。

要介護3

要介護2よりも日常生活動作や手段的日常生活動作が著しく低下した状態。食事、排せつ、入浴の介助など、日常生活ではほぼ全面的な介護が必要。認知機能の低下による問題行動があらわれる場合もある。

要介護4

要介護3よりもさらに動作能力が低下し、介護がないと日常生活を送ることが困難な状態。食事、排せつ、入浴など日常生活のほぼすべてに介助が必要となる。思考力の低下も見られ、認知症症状への対応や常時見守りを要する場合もある。

要介護5

要介護4よりも動作能力がさらに低下し、介護なしでは日常生活を営むことはほぼ不可能な状態。食事、寝返り、おむつ交換など生活のすべてにおいて介助が必要となる。寝たきり状態で、会話などの意思疎通も困難な場合が多い。

要介護認定の申請の流れ

要介護認定・要支援認定申請書

要介護認定の申請手続きを知ろう!

 要介護認定を受ける場合には具体的にはどのように進めれば良いのか、申請の手続きについて詳しく解説します。また申請の際に必要なものについてもご紹介しますので、チェックしておきましょう。

申請の流れ

要介護認定は、「1.申請、2.調査、3.審査、4.結果通知」の流れで行われます。具体的な手続きを流れに沿って解説します。

1.申請

要介護認定を受ける場合には、まずはお住まいの市区町村の窓口に申請をしたい旨を申し出て、申請書をもらいましょう。窓口は介護保険課や高齢者福祉課など、自治体によって名称が異なりますので、担当窓口がわからない場合は、市区町村役所にて事前に聞いておくことをおすすめします。なお、申請書については各自治体のホームページからダウンロードすることも可能です。申請は、本人以外にも、家族や地域包括支援センターなどの代理人が代行できます。

申請書に内容を記入したら、担当窓口に提出して申請は完了です。その後、担当者から連絡が来て、介護認定の訪問調査を行う日程や場所の調整を行います。申請の際には、立ち会う家族のスケジュール調整や日程調整を行う家族の代表者などを決めておくとスムーズです。

2.調査

【訪問調査】

介護認定調査員が自宅や病院などを訪問し、対象者の身体や日常生活の様子を確認するための調査を行います。介護認定調査員は、主に市区町村の職員や委託を受けたケアマネジャー・看護師・保健師などがこの役割を担います。訪問調査で聞かれる内容の例としては、以下のものが挙げられます。

  • 起居、身体機能:麻痺の有無、寝返り、立ち上がり、立位保持など
  • 生活機能:食事、排せつ、着替え、外出頻度など
  • 認知機能:短期記憶、徘徊の有無など
  • 精神・行動障害:もの忘れ、大声を出すなどの問題行動の有無など
  • 社会性への機能:薬の内服、金銭管理など
  • 過去14日間で受けた特別な治療:点滴の管理、人工肛門の処置など

これらの基本調査項目に加え、現在受けているサービス、対象者の住居や家族の状況、既往歴の詳細のチェックや、特記事項の確認も行われます。特記事項とは基本調査項目における具体的な状況のことです。どのくらい介護に手間がかかるのかを正確に判定してもらうためにも、日頃の様子をできるだけ具体的に調査員に伝えましょう。

調査員は、訪問調査によって得られた情報から、どの程度介護や医療ケアが必要かをチェックします。訪問調査の際、家族の立ち合いが必須ではありません。ただし、正確な状況を伝えるためにも、ぜひ立ち合いをすることをおすすめします。具体的な様子や困りごとを直接伝えることで、正確な調査や審査につながるでしょう。

【主治医意見書の作成】

訪問調査と並行して、かかりつけ医によって主治医意見書が作成されます。意見書は市区町村から医師へ直接作成依頼がされる場合もあれば、申請者側が自ら主治医に意見書をもらう必要がある場合もあります。主治医意見書の手続きについては自治体により異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認しておくことをおすすめします。なお、介護認定を受ける予定がある場合には、事前にその旨をかかりつけ医に伝えておくとスムーズでしょう。なお、かかりつけ医がいない場合には、市区町村指定医の診察が必要になることがあります。

3.審査

要介護認定の審査は一次判定と二次判定の2段階となっており、一次判定はコンピューターによる推計、二次判定は介護認定審査会による審査が行われます。

【一次判定】

コンピューターによる一次審査では、訪問調査と主治医意見書の内容をもとに、どの介助にどのくらいの時間を要するか、全国一律の基準に当てはめて要介護区分が判定されます。

【二次判定】

介護認定審査会による二次審査では一次判定結果を踏まえつつ、調査内容と主治医意見書に加え、調査結果の中にある特記事項を含めた審査が行われます。特記事項とは、例えばおむつ替えの際に嫌がる、食事はひとりでできるが介助者を叩くなどの問題行動があるなど、介護の手間のかかり具合を示すものです。

なお、介護認定審査会は福祉、保健、医療の専門家5名程度で組織されており、専門家によってそれぞれの状況や事情に合った要介護度が決定されます。

4.結果通知

二次判定後、要介護区分が決定されると市区町村から郵送で結果通知書が届きます。結果通知書の中に、審査によって判断された要支援1~要介護5のいずれかの要介護区分が記載されていますので、必ず確認しましょう。なお、要支援・要介護に該当しない場合は、非該当(自立)と記載されます。申請から結果通知までの期間は、原則として30日以内とされています。

また、介護サービスは要介護認定を受けただけでは利用できません。介護サービスを利用するにはケアプランを作成して各事業所と契約を締結する必要がありますので、通知結果をもって地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談しましょう。

申請に必要なもの

要介護認定の申請には以下のものが必要です。申請を検討している場合には、事前に揃えておくと良いでしょう。

  • 申請書(市区町村の窓口またはホームページからダウンロード)
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 健康保険被保険者証(64歳以下の方)
  • 印鑑(本人以外が申請を行う場合)
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 身分証明書
  • かかりつけ医の診察券など、主治医の情報が確認できるもの

これらのほかにも、各自治体によって必要なものが異なる場合があるため、詳しくは申請をする市区町村の窓口で確認しましょう。

要介護認定の基準

要介護認定では、身体機能、起居動作、認知機能などの側面から対象者の状態を調査し、どれくらい介護のサービスを行う必要があるか、介護にかかる手間が判断されます。

要介護の度合いを公平に判定するため、基準となる介護内容の分類および介護認定等基準時間が全国一律で設けられています。判定では、介護内容の行為を下記の5つに分類し、統計データに基づいて推計された「1分間タイムスタディ・データ」から、各行為の介護に要する時間を分単位で表した介護認定等基準時間を導き出すことで、介護にかかる手間を判定します。

なお、介護認定等基準時間は、実際の介護やケア時間を示すものではありません。相対的にどのくらい介護の手間がかかっているのかを示す指標として、要介護認定に用いられているものです。この介護認定等基準時間に認知症の程度を加味し、要介護度が判定されることになります。

介護内容の分類や介護認定等基準時間については以下の通りです。

介護内容の分類

分類

介護の内容

直接生活介助

入浴、排せつ、食事等の介護

間接生活介助

洗濯、掃除等の家事援助など

問題行動関連行為

徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など

機能訓練関連行為

歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練

医療関連行為

輸液の管理、褥瘡(じょくそう)の処置等の診療の補助

介護認定等基準時間

要介護度

上記5分野の要介護認定等基準時間

要支援1

25分以上 32分未満またはこれに相当する状態

要支援2・要介護1

32分以上 50分未満またはこれに相当する状態

要介護2

50分以上 70分未満またはこれに相当する状態

要介護3

70分以上90分未満またはこれに相当する状態

要介護4

90分以上110分またはこれに相当する状態

要介護5

110分以上またはこれに相当する状態

要介護認定後の手続き

要介護と判定された場合はケアマネジャー、要支援と判定された場合は地域包括支援センターに連絡しましょう。ケアマネジャーの選び方がわからない場合は、地域包括支援センターに相談すれば紹介してもらうことが可能です。要介護の場合は、ケアマネジャーと相談しながら介護サービスを、要支援の場合は地域包括支援センターと相談しながら介護予防サービスを選んでいきます。

本人や家族の希望や状況などをもとに、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターがケアプランを作成します。ケアプランとは、どのような介護を、いつ、どれだけ利用するかを決める計画のことです。ケアプランに記載された内容に基づき、利用者は介護サービスを利用することができます。ケアプランが作成されたら、利用者は介護サービス事業所と契約を結び、いよいよサービスの利用がスタートします。

例えば、食事や排せつは問題なくできるが入浴時など足を上げる動作には援助が必要な状態で、要介護2と判定された場合。自宅での訪問リハビリや、デイサービスで通う施設にて入浴介護を受けるなどの選択肢があります。本人や家族の希望を踏まえて、利用したいサービスを選びましょう。

要介護認定のポイント

手書きのポイントマーク

要介護認定のポイント

要介護認定において知っておきたいポイントや注意点をご紹介します。要介護認定で失敗しないためにも、これらのポイントをしっかり把握しておきましょう。

要介護認定の結果に対する不服申し立て

要介護認定の結果に納得できない場合は、再調査や不服申し立て(審査請求)ができます。
結果が実際の状態と合っていない、判定結果が非該当(自立)となってしまいサービスを利用できないなど、判定結果がおかしいと感じる場合には、まずは市区町村窓口や地域包括センターに相談して、再度調査してもらいましょう。それでも解決しない場合は、結果通知を受け取ってから3か月以内であれば、都道府県の介護保険審査会に対して不服申し立てとして再審査の請求ができます。

不服申し立てをしたい場合は、まずは担当ケアマネジャー、市区町村窓口、地域包括支援センターのいずれかに申し出てください。その後、再審査についての申請書を市区町村役所の窓口に提出します。なお、自治体によっては申請方法や添付書類、申請期限が異なる可能性がありますので、事前に確認が必要です。

申請書が受理されると、要介護認定調査を最初からやり直すことができます。ただし、再審査の際には1からやり直しとなるため、再度30日程度の時間がかかる点は留意しておきましょう。

要介護認定の有効期間

要介護認定には有効期間があり、新規申請または区分変更申請の場合は原則6か月、更新申請の場合は原則12か月が基本です。ただし、要介護者の状態をもとに自治体の判断で、新規または区分変更する場合は3か月~12か月、更新の場合は3か月~48か月の間で個別に有効期間が設定される場合もあります。

短縮されるケースとしては、対象者の状態が短期間で変化する可能性があると判断された場合です。延長されるケースとしては、短期的に状態の変化が見込まれないと判断されたと場合に、個別に設定されます。

要介護区分の変更

有効期限満了前であっても、心身の状態が変化した際には、区分変更を申請することができます。必要とされる介護サービスはその時の状態によって変わるので、現状に合ったサービスが受けられるよう、心身の状態に変化があった場合は、区分変更申請を行うと良いでしょう。

要介護区分の変更申請をしたい場合には、まずは担当のケアマネジャーに相談します。本人や家族が変更申請をすることもできますが、ケアマネジャーに手続きをしてもらうことが一般的です。変更申請の要望を受けたケアマネジャーは、現状の分析や本人・家族のニーズを聞き取り、本人の状況について再確認するアセスメントを実施します。要介護区分の変更が必要とされた場合は、必要書類を用意して変更申請を行います。申請後は新規の申請と同様に、訪問調査、主治医意見書の作成が行われ、一次判定、二次判定を通して結果が通知されます。なお、変更申請の場合も本人以外の家族や代理人による申請が可能です。

介護サービスを利用せずに要介護認定は受けられる?

特に利用したいサービスが決まっていなくても、要介護認定は受けられます。とりあえず要介護認定を受けておいて、認定後に介護サービスや事業所を選ぶことも可能です。ただし、健康な状態で調査や審査を受ければ、非該当(自立)と判断される可能性が高いでしょう。また、認定から実際に利用するときまでの時間が空けば、現状と区分があっておらず、実際に必要なサービスを受けるのに再度認定を受け直す手間がかかります。

基本的には、日常生活や特定の場面で介護が必要だと感じてから要介護認定を受けることをおすすめします。自分や家族が要介護認定を受けられるかわからない場合は、地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。

まとめ

要介護認定は、介護保険を使った介護サービスを利用する際に必要になるものです。要介護認定を受けるには、申請書の提出、訪問調査、主治医の意見書提出などの手続きを経て審査が行われます。そして、判定された要介護認定区分に応じて、利用できる介護サービスや1か月あたりの利用限度額が異なります。

介護は適切なサービスを受けることで、本人も介護者も快適に過ごせるものです。日常生活の中でサポートが必要だと感じた場合は、要介護認定の申請を検討してみると良いでしょう。要介護申請を受けられるか、申請の方法、介護についての相談は地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

なお、介護保険が適用されるサービスは、被介護者の日常生活の範囲に限定されています。例えば趣味の外出や散歩の際の外出介助、草むしり、家族の分も含めた家事支援、話し相手などのサービスには、介護保険は使えません。こうした介護保険が使えない場面では、保険適用外サービスを利用するのもひとつの手です。介護保険を使ったサービスだけでは不足を感じる場合や日常生活範囲外でもサポートを受けたい場合には、介護保険外サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

介護保険外だからいつでも、なんでも相談できる