こんちには、けあむすびです。
今回は、「訪問リハビリテーション(訪問リハビリ)について、学んでいきます。
訪問リハビリテーションは、リハビリ専門職が自宅を訪問し、一人ひとりの状態や目標に合わせたリハビリを提供するサービスです。訪問リハビリテーションを利用することで、自宅での生活動作の維持・改善、QOL(生活の質)の向上、そして家族の介護負担軽減が期待できます。
この記事では、訪問リハビリテーションの対象者、利用の流れ、サービス内容などを徹底解説します。自宅で効果的なリハビリを受けるための情報を網羅し、長く快適な在宅生活を送りましょう。
- 訪問リハビリテーションとは?
- 訪問リハビリテーションの対象者
- 訪問リハビリテーションが特に有効なケース
- 訪問リハビリテーションの費用
- 訪問リハビリテーションの利用の流れ
- 訪問リハビリテーション利用回数の制限
- 介護保険外の自費リハビリテーションについて
- まとめ
訪問リハビリテーションとは?
訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士などの専門職が自宅を訪問し、住み慣れた環境でリハビリ指導を受けられるサービスです。利用には、介護保険と医療保険の2種類の方法があります。介護保険は要介護認定を受けており、主治医から「訪問リハビリテーションが必要」と認められた方が対象です。40歳未満の方や、要介護認定を受けていない方は医療保険の対象となります。
なお、介護保険と医療保険は基本的に併用できませんが、訪問リハビリ以外の介護サービスを利用する場合や、別の病気によるリハビリを受ける場合など、条件によっては両方の保険を使えることもあります。また、医療保険や介護保険の対象外となった場合に、自費サービスとして訪問リハビリテーションを受けることも可能です。リハビリの回数制限なく継続したい方や、自己負担での利用に支障がない方にとって有効な選択肢となるでしょう。
訪問リハビリテーションの種類
訪問リハビリテーションには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つの専門職が関わります。いずれも国家資格を持つリハビリの専門家であり、それぞれの立場から利用者の身体機能やQOL(生活の質)を支える役割を担っています。ここでは、各専門職の具体的な役割について詳しく見ていきましょう。
理学療法士(PT)
理学療法士は、歩く、座る、立ち上がるといった日常生活に欠かせない基本的な身体機能の回復を支援する専門職です。病気やケガなどで身体に障害を抱えた方に対し、運動療法や物理療法、さらには歩行訓練や筋力トレーニングなどを通じて、基本的な動作能力の回復を図ります。
作業療法士(OT)
作業療法士は、心や体に障害のある方が日常生活や社会生活に復帰できるよう支援する専門職です。食事や着替え、家事、趣味など、生活に関わる様々な動作を用いた訓練を通じて、心身機能の回復と自立をサポートします。
言語聴覚士(ST)
言語聴覚士は、言語機能や嚥下機能に問題のある方に対して検査・評価を行い、その人に合った訓練や指導を行う専門職です。支援対象は、失語症、聴覚障害、言語発達の遅れ、声や発音の障害など多岐にわたり、小児から高齢者まで幅広く対応します。
訪問リハビリテーションのサービス内容
訪問リハビリテーションでは、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか。
健康状態の確認
リハビリ専門スタッフが自宅を訪問し、バイタルチェック(体温、脈拍、血圧、呼吸数など)、病状・精神面の観察や確認などを行い、健康状態を把握します。
身体機能の改善
関節の可動域や筋力を高める機能回復訓練、歩行や階段昇降など、日常生活に必要な基本的動作を安全に行うための訓練が行われます。また、嚥下障害のある方には食べ物や飲み物を安全に飲み込めるようにするための嚥下訓練も実施し、安全な日常生活とQOL(生活の質)の向上を目指します。
日常生活の指導・助言
利用者が自宅で安心して日常生活を送れるよう、日常生活に直結した動作の指導や助言が行われます。具体的には、入浴や排せつといった身の回りの動作練習に加え、調理や洗濯などの家事動作練習、口腔ケアの方法などです。また、食事介助については、家族に対して具体的な方法を指導し、利用者本人だけでなく家族の負担も軽減できるよう支援します。
介護相談・家族支援
福祉用具の選定や使い方、住まいの環境づくりなどについて、プロの目線からアドバイスをしてもらうことができます。例えば、手すりの位置や使いやすい道具の選び方など、生活しやすくするための工夫を一緒に考えてくれるのです。また、利用者やご家族からの悩みごとや質問にも丁寧に耳を傾け、安心して毎日を過ごせるようサポートしてくれます。
通所リハビリテーションとの違い
訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションの大きな違いは、訓練を行う場所です。
訪問リハビリテーションは利用者の自宅にリハビリ専門員が訪問し、個別に訓練を行います。一方、通所リハビリテーションは利用者が施設に通い、他の方と一緒に集団で訓練を受けるスタイルです。
外出が難しい方や、自宅でのリハビリの進め方、家族の介助方法などを具体的に教えてほしい方は訪問型、他の利用者との交流を楽しみたい方や、専門設備を活用したリハビリを希望する方には通所型が適しています。
訪問リハビリテーションの対象者
訪問リハビリテーションは誰でも利用できるわけではなく、サービスを受けるには一定の条件を満たしている必要があります。ここでは、その対象となる方について紹介します。
介護保険証の認定を受けている方
要介護認定(要介護1〜5)を受けており、医師が訪問リハビリテーションの利用を必要と判断した方が対象です。どのような病気やケガがきっかけであっても、認定を受けていれば利用することができます。また、40歳から64歳の方でも、「脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)」や「がん」など16種類の特定疾病によって要介護状態と認められた場合もサービスの対象になります。
主治医から必要性が認められた方
主治医が「訪問リハビリテーションの実施が必要」と判断した場合、その利用が認められます。なお、要介護認定を受けていなくても、医師の判断があれば医療保険で受けることが可能です。例えば、65歳未満で介護保険対象外の医療的リハビリが必要な場合や、40~65歳未満で特定疾病に該当しない方などが対象になります。
訪問リハビリテーションが必要とされる主な対象者として、病院やリハビリ施設への通院が困難、高齢や障害などで外出が難しい方などです。また、退院や施設から退所後の日常生活に不安があり、体力が回復していない場合や生活動作に支援が必要な場合にも認められます。さらに、在宅療養中に機能維持や生活自立が必要な場合、医師の指示書に基づいてリハビリ専門職が自宅を訪問して支援を行います。
訪問リハビリテーションが特に有効なケース
訪問リハビリテーションは、通院の負担を軽減し、慣れた環境で安心してリハビリに取り組めることから、必要な支援を無理なく受けられるサービスです。ここでは、訪問リハビリテーションが特に効果を発揮するケースについてご紹介します。
通院が困難な方
通院が難しい方にとって、訪問リハビリテーションは大きな支えとなります。例えば、寝たきりの状態で病院やリハビリ施設まで移動することが困難な場合や、リハビリが必要であっても本人が通所リハビリに消極的な場合などは、自宅で専門的な支援を受けられます。住み慣れた環境でリハビリに取り組むことができるため、身体的・精神的な負担を軽減しながら、着実な回復を目指すことが可能です。
自宅での生活動作に不安がある方
自宅での生活に不安がある方にとって、訪問リハビリテーションは有効です。退院後や日常生活に不安がある方が、自宅で専門的なリハビリを受けることで、食事や排せつ、着替えなどの生活動作を安全に行えるよう支援を受けられます。これにより、安心して自宅での生活を続けられます。
退院後のリハビリテーションが必要な方
退院後は病院や施設でのサポートがなくなるため、自宅での生活に不安が生じることがあります。退院後に自宅で専門的なリハビリを受けることにより、安心して生活を続けられるでしょう。
訪問リハビリテーションの費用
訪問リハビリテーションを利用する際、介護保険と医療保険のどちらに該当するかで料金が異なります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
介護保険を適用した場合
介護保険を適用する場合、1回20分あたり308単位が目安となり、基本料金の自己負担額は308円(1単位10円・1割負担)です。ただし、所得が高い世帯では2割または3割負担になることもあります。その場合、3割負担だと基本料金の自己負担額が924円になります。
医療保険を適用した場合
医療保険の場合、6歳(義務教育就学後)から70歳未満は3割、6歳(義務教育就学前)未満と70歳から75歳未満は2割、75歳以上は1割の自己負担となります。ただし、70歳以上でも現役並みに所得が多い場合は3割負担になることもあります。
訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、週3日までの訪問で1割負担の場合1日555円、2割負担の場合1,110円、3割負担の場合1,665円です。そして、週4日目以降は1割負担の場合655円、2割負担の場合1,310円、3割負担の場合1,965円となります。加えて、訪問看護療養費が月の初日に1日あたり740円(1割負担)・1,480円(2割負担)・2220円(3割負担)、2回目以降は298円(1割負担)・596円(2割負担)・894円(3割負担)かかります。さらに必要に応じて様々な加算が加わることもあります。
訪問リハビリテーションの利用の流れ
訪問リハビリテーションを利用する際、介護保険や医療保険の適用方法により、利用の流れが異なります。それぞれの保険を利用した場合の手順を理解することは、サービスをスムーズに受けるために重要です。ここでは、介護保険を利用する場合と医療保険を利用する場合に分けて、訪問リハビリテーションの利用の流れを紹介します。
介護保険利用の場合
介護保険を利用する場合、まずはケアマネジャーに相談し、希望する事業所があればその旨を伝えます。次に、主治医に訪問リハビリを利用したい旨を伝え、診療情報提供書やリハビリ指示書などの必要な書類を作成してもらいましょう。
なお、リハビリ指示書の発行には、定期的な受診(3ヶ月に1回)が必要です。その後、選定した訪問リハビリ事業所と契約を結び、訪問リハビリ事業所のスタッフが主治医のリハビリ指示書を参考にしてリハビリ計画書を作成し、ケアマネジャーはそれをケアプランに組み込みます。そしてサービスが開始されます。
医療保険利用の場合
医療保険を利用する場合、まず医師が訪問リハビリを必要と判断し、その指示書を発行します。なお、指示書の発行には、3ヶ月に1回の受診が必要です。その後、必要に応じてケアマネジャーを通し、事業所や医療機関と契約を結びます。契約が完了すると、サービスが開始されます。
訪問リハビリテーション利用回数の制限
訪問リハビリテーションは、医師の指示に基づいて自宅でリハビリを受けられるサービスですが、その利用回数には一定の制限があります。利用者の状態や保険の種類に応じて、回数や期間が異なるため、事前に確認が必要です。
介護保険利用の場合
介護保険を利用した訪問リハビリテーションは、原則として1週間に最大6回までの利用制限があります。1週間あたりの合計利用時間は120分で、1回の訪問時間が20分の場合は最大6回、40分の場合は最大3回です。ただし、退院後3ヶ月以内は、1週間に最大12回(240分)まで利用できます。
医療保険利用の場合
医療保険を利用した訪問リハビリテーションの利用回数は、原則として「1日1回、週3回」が上限とされています。ただし、厚生労働大臣が定める特定の疾病や急性増悪時などにより医師の特別指示がある場合は、この制限が適用されません。
介護保険外の自費リハビリテーションについて
介護保険や医療保険で提供されるリハビリテーションサービスでは対応できない部分を補うために、選択肢のひとつとして介護保険外の自費リハビリテーションがあります。
自費リハビリは、期間や回数に制限がなく、ニーズに応じた柔軟なサービスを受けることができます。また、時間や場所の自由度が高く、より個別的な目標設定が可能です。例えば、介護保険でのリハビリがADL維持や改善を目的とするのに対し、自費リハビリではスポーツ復帰や趣味の再開など、より個人の希望に沿った目標を設定することができます。
自費リハビリの目安金額
もし、介護保険や医療保険の対象外となった、時間や回数の制限を超えて集中的にリハビリを実施したいなど、保険サービス内では対応できない場合は、自費による訪問リハビリテーションを検討しましょう。ただし、自費利用の場合、保険が適用されないため自己負担が高額になりがちです。
自費で利用する場合は事業所ごとに料金が異なりますが、一般的には1時間あたり12000円~20000円程度が目安です。ただし、事業所やサービス内容によって料金は変動し、1時間で数万円かかる場合もあります。施術を担当するセラピストによっても料金が異なるため、事前に確認することが重要です。
保険内のリハビリで足りないケースとは?
医療保険のリハビリの場合、期間制限(脳血管疾患の場合、発症から180日以内など)や、リハビリの回数・時間に制限が設けられているため、利用者が十分なサポートを受けられないというケースもあるでしょう。特に維持期や生活期に入ると、集中的なリハビリが提供されない場合があり、「リハビリ難民」が生じる原因となります。
保険内のリハビリでは、目標に合わせた個別対応や、自由度の高いサービスが提供されにくいため、利用者が必要とするリハビリを十分に受けられないことがあるのです。
まとめ
訪問リハビリテーションは、自宅にいながらリハビリテーションを受けられる有効な手段です。対象となる方や利用までの流れを理解し、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。
クラウドケアでは、保険外(自費)訪問リハビリサービスをご用意しています。医療保険や介護保険では十分にカバーできない方、発症後数年が経過した脳卒中後遺症の方、関節や筋肉に痛みを伴う整形外科的疾患の方、その他リハビリが必要な方々に対して、個別の目標設定に基づき、集中的な治療を提供します。
対応可能なリハビリの対象は、神経疾患と整形外科疾患の二つのカテゴリーに分かれます。神経疾患は、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発神経炎、筋ジストロフィーなどです。整形外科疾患には、関節リウマチ、五十肩、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症、変形性膝関節症、アキレス腱断裂などがあります。その他にも、廃用性症候群も対象となっています。
特に、「発症から時間が経ったが少しでも機能回復を目指したい方」、「リハビリの機会が不足している方」、「自宅での介助方法などを相談できる相手がいない方」におすすめのサービスです。特別体験プログラムや回数制のコースもご用意していますので、ぜひ一度クラウドケアの自費リハビリサービスをご体験ください。